満蒙開拓体験を著作化 95歳長谷川さん(浜松市浜北区) 市内書店で近く発売

 浜松市浜北区の長谷川鐡雄(てつお)さん(95)の手記を元にした本「満蒙(まんもう)開拓と浜松」が近く、市内の書店で発売される。長谷川さんが中学校を卒業して単身で渡った中国大陸での体験を資料とともに掲載した。

出来上がった本を眺める長谷川さん=浜松市浜北区の長谷川さん宅
出来上がった本を眺める長谷川さん=浜松市浜北区の長谷川さん宅


 長谷川さんは龍池村立龍池国民学校(現在の北浜東小)高等科を卒業した1942年3月、満蒙開拓青少年義勇軍訓練所に、6月に満州の黒河省大額訓練所に入所、45年5月には北安省北斗開拓団に入植した。同年8月13日に招集され、終戦後は新京(現在の中国・長春市)に逃れ、46年7月に引き揚げた。帰郷後は三方原地区の開拓に携わり、旧浜北市役所に勤務した。
 本は長谷川さんが家庭の事情などで満蒙開拓青少年義勇軍に志願した経緯、入所後の倉庫番や連絡係、野菜の貯蔵といった仕事の話を記述。終戦間際に軍に入隊した時のエピソード、終戦後まもなく入植地域で略奪や傷害事件が激しくなり、女性や幼児を守りながら逃げた経験が記されている。
 執筆と編集は別の満蒙開拓者らの体験談をまとめた著作も書いている柴田宏祐さん(81)=浜松市北区=が担当した。長谷川さんは「国のためを思い、大陸で少年期を過ごした。そんな時代があったことが今の世にも伝われば」と語る。
 A4判94ページ。税込み千円。谷島屋書店の浜松本店、サンストリート浜北店などに置かれる予定。

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