スケボーパーク運営、浜松の近藤さんが法人設立 市街地活性にも 

 浜松市南区卸本町のスケートボードパーク「ヌートリア」を運営する若いスケーターらが本年度、法人を設立して活動の幅を広げている。「ORS クリエイティブディストリビューション」の名で継続的にスケボー教室を開き、市街地の文化イベントにも携わる。代表の近藤哲也さん(34)=同市中区=は「ふるさとの浜松を若者が夢を持って暮らせる街にしたい」と励む。

スケートボードの指導をする近藤哲也さん(中央)。「夢を持って暮らせる地域づくりがしたい」と励む=1月中旬、浜松市南区のヌートリア
スケートボードの指導をする近藤哲也さん(中央)。「夢を持って暮らせる地域づくりがしたい」と励む=1月中旬、浜松市南区のヌートリア


 1月中旬の日曜。近藤さんや20~30代のスケーターが主に初心者を対象に指導する週末恒例の教室が開かれ、小学生や未就学児らが参加した。2022年末から通う松本蒼央[そう]ちゃん(5)は「ちょっとぐらぐらするけど楽しい」と笑顔で話した。
 平日もほぼ毎日ヌートリアを開け、スケーターが常駐して助言する。静岡市では出張教室を続け、昨年末には浜松市街地の百貨店跡地や浜松城公園で体験会を開催。熱心な普及活動の理由を近藤さんは「好きなことを環境のせいであきらめてほしくない」と語る。
 元々スノーボードに打ち込み、海外の大会にまで遠征して企業のスポンサー協力も受けた。夏はアルバイトとスケボー、冬になると山ごもりという生活を送った。
 ただ、20代後半になると、活動をともにした同世代のスノーボーダーたちがけがに苦しみ、家族を養う必要に駆られて次々と引退。自身も限界を感じた。ふと、人通りが徐々に減る故郷が思い浮かび「培ったことを地元の若者のために還元すべき時だ」と考えた。
 市街地で音楽、服飾、スケボーなど若者文化に関するイベントを本格的に開催し始めた。簡単に理解が得られたわけではないが、頭を下げて説得を重ねるうちに企業、行政、市議会などから協力者が現れ、19年に空き倉庫を借りてヌートリアをオープンした。
 今は市からスケートボード施設に関する相談も受ける近藤さん。今後はスケボーや音楽など、ストリートカルチャー関係での雇用創出が目標だ。「浜松という地方でも夢は実現できるんだということを若い人たちに示したい」と言葉に力を込める。
 

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