清水港訪日クルーズ再開 おもてなしに磨きを【黒潮】

 横浜港に寄港していた大型客船で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことを受け、2020年3月以降ストップしていた国際クルーズ船の受け入れ。清水港で全国で初めて3月1日に再開することが決まり、注目を集める。これを機会にクルーズ船受け入れ港としての地位を一層高めてほしい。
 「全国のクルーズ船関係者が清水港を注視している」。横浜市客船事業推進課の担当者はそう話す。受け入れ再開が地元住民にどう受け止められ、メディアがどう報じるか注目しているという。
 静岡市が3日に行った、3区の自治会連合会幹部への説明ではコロナ禍を心配する声は出なかった。清水区自治会連合会の田宮文雄会長(81)は「心配より経済効果に期待する声が多い」と雰囲気を説明する。清水港でコロナ対策と両立した好スタートが切れれば、国内の港に輪が広がるかもしれない。
 「クルーズ船は港の華」だ。美しい船体が停泊しているだけで一気にみなとまちは華やぐ。と同時に、地元に経済効果ももたらす。3月21日に初寄港する「MSCポエジア」(9万2627トン)の場合、乗客・乗務員は約4千人。小規模自治体人口よりも多い。
 クルーズ船の寄港に伴い、岸壁予約など各種手続きを代行する地元海貨業者には手数料収入が入る。コロナ前のように外国人の観光客が駅前商店街を回遊すれば、地元商店などにもお金が落ちる。
 官民挙げて30年以上続く誘致活動が実り、日本三大美港と呼ばれる清水港の魅力が外国人の評判を呼んでいる。楽器の演奏や通訳などボランティアで海外からの客をもてなそうとしてきた地元住民の温かい気持ちも外せない。まさに「オール静岡」でおもてなしに磨きをかけたい。
 「豪華客船の文化史」(NTT出版)の著者で現商船三井出身の野間恒氏は「船には人びとを魅了する魅力があり、とくに客船には人の冷静さを揺るがしかねない『魔力』がある」と述べている。人々を引き付けてやまない国際クルーズ船の再来が待ち遠しい。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞