子どもと一緒に 御殿場“移住” 「保育園留学」 親は首都圏へ出勤可能 23年度受け入れ開始

 子どもと一緒に移住体験を―。御殿場市は2023年度、市外在住の家族に2週間滞在してもらい、未就学の子どもを保育施設で預かる「保育園留学」を始める。暮らしを体験しながら地域の魅力を感じてもらう狙い。関係人口を増やし、移住定住者の増加にもつなげたい考えだ。

子どもを受け入れる「高嶺の森のこども園」の完成イメージ図。富士山麓で自然体験ができる
子どもを受け入れる「高嶺の森のこども園」の完成イメージ図。富士山麓で自然体験ができる

 地方と家族をつなぐ事業を展開するキッチハイク(東京都)と連携した取り組み。同社が滞在先や子どもの預け先をセットにした「留学プログラム」を提供する。市未来プロジェクト課の杉山真彦課長は「富士山のある景観や自然、多彩なアクティビティーが楽しめ、一定の都市機能もある。住めばきっと好きになる」と自信を示す。
 子どもを受け入れる「高嶺(たかね)の森のこども園」(4月開園)は富士山麓の森の中にある。時期によって動物との触れ合いや農作物の収穫を行い、子どもも地域の特性を感じられるという。
 同社の保育園留学は1月時点で北海道などの8地域で行われている。テレワーク普及など働き方の変化が追い風となり、キャンセル待ちが2千組以上という人気ぶり。利用者の8割以上は首都圏在住者で、広報担当の福田将人さん(27)=東伊豆町=は「ビルの中や園庭のない保育園に通う子どもに、のびのびとした環境を与えようと参加する家族がいる」と話す。
 先行実施するのは首都圏から離れた地域が多い中、東京まで車で1時間程度という御殿場の立地は大きな利点だ。急に対面の仕事が入っても保育時間内に行き来できる。週に数回出社する人や、両親の一方が出社する家族も参加しやすい。
 23年度はモニターを含め二十数世帯を募る。24年度以降は年間100世帯を目指し、受け入れ施設も増やす。訪れた家族との関係を保ち、その後のまちづくりに生かす方策を検討するという。

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