服飾から演出読み解く 映画「イニシェリン島の精霊」 野沢さんがトーク【とんがりエンタ】

 第95回米アカデミー賞の主要8部門にノミネートされている映画「イニシェリン島の精霊」を上映中の静岡シネ・ギャラリー(静岡市葵区)は、作品の舞台アイルランドの服飾文化を語るトークイベントを同館で開いた。洋品店「ジャックノザワヤ」(同区)の店主野沢弥一郎さん(65)が、登場人物の服装から演出の意図を読み解いた。

登場人物のセーターや装飾品から「イニシェリン島の精霊」の演出意図を読み解いた野沢弥一郎さん=静岡市葵区
登場人物のセーターや装飾品から「イニシェリン島の精霊」の演出意図を読み解いた野沢弥一郎さん=静岡市葵区

 野沢さんは網目模様が特徴のアイルランドの伝統的なセーター「アランセーター」の輸入販売を長く手がけ、約30回、現地を訪れている。
 トークではまず、主演コリン・ファレルが着た襟付きの赤いセーターに言及した。「設定は1923年のアイルランドの離島だが、当時も今も男性が赤色を着ることはない。彼の中性的な人物像に合わせたのだろう」と分析した。
 アクセサリーにも着目した。ファレルの妹役として出演のケリー・コンドンが着けた装飾品は00年前後にアイルランド本土で流行した「タラブローチ」だと指摘。「23年にまだ、時代遅れのブローチを着けている。マーティン・マクドナー監督はそこに島の貧しい生活を象徴させたのではないか」と推論した。

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