記者コラム「清流」 近現代史学ぶ場も欲しい

 静岡市に歴史博物館ができた。基本展示の中核を成すのは、日本史上で最も有名な人物の一人、徳川家康だ。家康が当地で過ごすきっかけをつくった今川氏や、江戸時代の駿府の町の様子についても展示で伝える。地元・静岡の視点からの家康像や駿府像の提示には、独自性を感じた。
 焦点をある程度絞ったことで、コンセプトは分かりやすい。半面、家康の時代は静岡の歴史の一部に過ぎない。明治以降の近現代に関する展示もあるが、家康関連に比べると物足りない印象を受けた。
 旧陸軍の歩兵連隊が置かれた軍都としての側面、戦時中の空襲被害や戦後の復興。パネル展示には収まらない歴史を重ね、今の静岡があるはずだ。徳川や今川だけではない歴史を学ぶ場も、身近なところに欲しい。
 

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