廃材墓石で暮らし明るく 袋井の石材店、照明器具商品化 重厚感に着目

 墓石加工販売の石亀石材店(袋井市、加藤康弘社長)はこのほど、墓石を切り出した際の廃材を使った照明器具を商品化した。少子化の波などで遺骨が管理できず「墓じまい」が進み、墓石需要が低迷する中、石材の新たな可能性として期待を寄せている。

廃材を活用した「石蛍華」=1月下旬、袋井市内
廃材を活用した「石蛍華」=1月下旬、袋井市内

 新商品「石蛍華」は幅、奥行き15センチ、高さ20センチで重さは5キロ。研磨した石をコの字形にくりぬき、明かりをともす「火袋」は障子と県西部の伝統織物「遠州綿紬」を貼った木枠をはめ込んだ。ホタルのようなやわらかい光が特徴で「暮らしに華を添えたい」との思いを込めて名付けた。
 石材の新たな使い道を模索していた加藤社長が、石の持つ高級感や重厚感に着目。上質な空間を演出するインテリアとして加工することをひらめいた。高校時代の同級生の「大野建具」(浜松市西区)の大野浩二社長と開発に着手し、2年間の試行錯誤の末に完成にこぎ着けた。現在は建具の展示会などに出展してPRに励む。
 石材店では墓石を切り出した際に小さくなった余りの部材は産業廃棄物として処分し、石亀石材店でも10トン程度の端材が石置き場に山積みになっている。照明器具の材料として生かすことで、処理や保管のコストを削減でき、環境面への配慮にもつながる。
 加藤社長によると、少子高齢化や供養形態の多様化に伴って墓じまいが進み、石材店の数は全国的に減少傾向という。将来的には墓じまいした墓石をリメークし、思い出として残す新ビジネスの展開も検討中だ。加藤社長は「『石材店イコールお墓』のイメージを覆したい。石材は加工次第でさまざまな魅力が出せることを知ってもらえれば」と力を込める。

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