動く部活動改革 地域移行へ協議組織【検証 沼津市予算案㊦】

 沼津市の大岡市民運動場に学校を終えた小学生が次々と集う。サッカーJ1横浜FCの長谷川竜也選手(28)=同市出身=が代表を務めるサッカースクール「THFA」のメンバーらだ。スクールは4月からの中学生チーム発足に向け、準備を進めている。

サッカースクールで練習する小学生。中学生チームの発足を進めている=沼津市の大岡市民運動場
サッカースクールで練習する小学生。中学生チームの発足を進めている=沼津市の大岡市民運動場

 チーム設立の背景には、少子化による中学校のサッカー部減少がある。コーチの野田侑成さん(29)は「部があっても部員が少なかったり、合同チームだったり。サッカーにしっかり取り組みたい中学生や保護者が受け皿を求めている」と説明する。
 国は少子化や教員の負担軽減を目的に、休日の中学校部活動の指導を地域クラブなどに委ねる「地域移行」を進めるよう現場に求めている。沼津市の市立中は2023年度から、地域移行の前段階として平日の部活動を「週3回午後5時まで」に統一する改革に乗り出す。加えてスポーツ・文化団体や自治会、学校関係者で組織する部活動地域移行に向けた協議会を組織するため、23年度予算案に340万円を計上した。
 協議会は23年度中に5回開き、地域移行時に考えられる指導者不足や民間クラブとの連携など、課題や問題点を整理、検証する。市内には地域移行を見据え、野球や吹奏楽などでチームやクラブも複数発足している。スクールの運営にも携わる野田さんは「私たちも地域の子どもやスポーツに貢献したい思いはある。協力できる点は協力したいので、協議する場ができるのはありがたい」と歓迎する。
 地域移行後は、活動や参加する生徒の範囲が広がることが予想される。活動場所によっては、保護者に送迎の負担が増えることになる。中学生の子ども2人を持つ40代の保護者は「活動場所に通えない場合、地域クラブにも、部活動にも参加できない生徒が出ないか」と危惧する。
 協議会は、部活動地域移行に関する一定の指針や方針を23年度中に示す計画だ。ケースに応じて生徒や家族、指導者への経済的支援の検討も求められる。

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