湖西でバナナ特産化挑戦 耕作放棄地を活用 建設会社が栽培、町おこしのエネルギーに

 浜名湖に面した湖西市北部の利木地区。自然豊かなこの地で、バナナが新たな特産品に育つかもしれない。浜松市西区の篠原建設(榊原夏雄社長)が耕作放棄地を活用し、バナナ農園の整備を進めている。異分野の試みながら、バナナのタルトやシュークリームを扱うカフェの計画もあり、同社は「地区が盛り上がる原動力の一つになれば」と意欲を見せる。

バナナの状態を確認する社員=1月上旬、湖西市利木
バナナの状態を確認する社員=1月上旬、湖西市利木
篠原建設が整備中のカフェ(左)と民泊施設
篠原建設が整備中のカフェ(左)と民泊施設
篠原建設が育てているものと同じ種類のバナナ(篠原建設提供)
篠原建設が育てているものと同じ種類のバナナ(篠原建設提供)
湖西市 利木地区
湖西市 利木地区
バナナの状態を確認する社員=1月上旬、湖西市利木
篠原建設が整備中のカフェ(左)と民泊施設
篠原建設が育てているものと同じ種類のバナナ(篠原建設提供)
湖西市 利木地区

 田畑に囲まれた一角に、ビニールハウスが立つ。中に入ると、暖かな空気とともに土の香りが伝わった。広さ約1200平方メートルのハウス内には、234株のバナナが育つ。昨年9月半ばに植えた。今後3メートル程度にまで成長し5、6月ごろの収穫を見込む。「グロスミッシェル」という品種で、甘みが強いことが特徴だそうだ。
 篠原建設はコンクリートや鉄骨構造の建築現場でコンクリートを流し込むための型枠工事を得意とする。1995年の創業以来、小学校などの施設建設に携わってきた。
 バナナ園の整備は榊原社長(53)や社員らが利木地区でマリンスポーツを楽しんでいたのがきっかけ。福利厚生の一環で、宿泊もできる施設を造ろうと考えていたところ、「地域活性化につながる施設がほしい」との住民要望が耳に入った。
 人口が減り、目立った特産品もない地区を何とか盛り上げられないか。湖西市から土地の紹介を受け、昨年5月ごろから農園整備を始めた。
 岡山県の農園から耐寒性に優れた特殊な農法を用いたバナナを仕入れた。社員の斉藤裕二さん(44)は同県で5カ月間、栽培方法の研修を受けた。「不安はあったが、農業には興味があった。聞くのと実際に育ててみるのでは全然違う。今後もこつなどを学んでいきたい」と話す。
 同社は20年近く空き家になっていた農園近くの古民家を買い取って、カフェと民泊施設を整備中だ。カフェは大正、民泊施設は明治時代の木造で、柱や梁(はり)の構造を生かしてリフォームを進める。榊原社長は「バナナは有機栽培なので、子育て世代にも安心して食べてもらえる。地域に愛されながら情報発信できたら理想的だね」と夢を語る。

スイーツ開発 高校生協力
 篠原建設(浜松市西区)のバナナ農園整備に呼応し、同区の県立浜松大平台高の生徒がバナナを使ったスイーツを考案した。同社は湖西市利木地区に建設中のカフェで、看板メニューとして売り出せないか検討を進める。
 同校では毎年、商業を学ぶ生徒が地元企業と連携した商品開発実習に取り組んでいる。本年度は同社農園のバナナを生かせる商品を考えようと、同じ方法で栽培されたバナナを岡山県の農園から仕入れた。3年生17人が菓子メーカー「たこ満」(菊川市)のアドバイスを基に、バナナのタルトとシュークリームを作り上げた。
 実習を担当する高橋優子教諭(44)は「地域の可能性やビジネスチャンスを高校生が発信することで、人々の気づきにつながってほしい」と期待する。

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