人口流出原因は 地域課題の共有へ議論、静岡で産官学プロジェクト

 ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)の発想を生かし、地域のさまざまな組織が協調して地域課題の解決を目指す公益財団法人日本生産性本部(東京)の「静岡・地域生産性向上プロジェクト」が本年度、静岡市で実施された。企業や商工団体、大学、行政機関などから参加した約40人が1月、年間を通じた議論の成果を披露した。

多様な立場の参加者が議論の成果を披露した発表会=1月末、静岡市葵区
多様な立場の参加者が議論の成果を披露した発表会=1月末、静岡市葵区
プロジェクトで指摘された人口流出の真因
プロジェクトで指摘された人口流出の真因
多様な立場の参加者が議論の成果を披露した発表会=1月末、静岡市葵区
プロジェクトで指摘された人口流出の真因

 四つのグループごとに討議を重ね、女性を中心とした若者の人口流出を静岡市と周辺の最大の課題と位置付けた。さらに、多くの若者を引きつける理想の地域の状態を「多様性を尊重されて暮らし、働き続けたいと思える」と設定した。
 現状とのギャップの議論では、「自己実現のチャンスが少ないと思われている」「職場に個性を発揮できない画一的な風土がある」「企業が働く若者や女性のニーズを把握できていない」―などの状況が指摘された。
 こうした状況の背景にある「真因」としては、気候に恵まれ比較的豊かな地域特性などから「現状に満足している」「同質性が高く変化を好まない」といった気質のほか、「個人と企業、地域のつながりが弱い」「若者や女性が求めるロールモデルが少ない」などの実感も示された。
 議論を踏まえ、グループごとに決定した地域目標の内容は「個別の組織や団体を超えた人材の活用」「個人と地域のつながり強化」「多様な働き方の担保」など。達成度を測る指標も決め、「自組織以外で社会経験のある人の割合」「スタートアップ企業の設立率」「管理職になりたいと思う女性の割合」などを採用した。
 プロジェクトは2023年度も継続し、目標達成に向けたアクションを検討していく。日本生産性本部の斎藤亮さんは「地元企業や大学などとも連携を図り、効果的な取り組みにつなげたい」と話す。
 

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