生活報道部 西條朋子
さいじょう・ともこ 1973年、静岡県駿東郡清水町生まれ。1997年入社。社会部、浜松総局、政治部、東部総局などに勤務。育休復帰後、夕刊「こちら女性編集室(こち女)」を経て、現在「NEXTラボ」担当。ジェンダ―平等や女性の健康、社会参加などを取材してきました。趣味は美術鑑賞。
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移り変わる光 色で表現【浜名湖花博2024 花が作る景色 ㊤浜名湖ガーデンパーク編】
浜松市中央区の2会場で開催中の「浜名湖花博2024」。2004年に開かれた花博の20周年を記念し、6月までの期間中、各会場に新設、再整備された庭や花壇が美しい姿を見せる。現場を訪ね、花が織りなす風景を専門家の視点で解説してもらった。今回は浜名湖ガーデンパーク編。(生活報道部・西條朋子) 園内の最奥に広がる「印象派庭園花美[はなび]の庭」は、04年の花博でフランスの印象派画家クロード・モネのジヴェルニーの自宅の庭を再現したのが始まり。閉幕後は都市公園に引き継がれ、刻々と変化する自然の躍動感を植物で表現してきた。長年管理責任者を務める佐原宏康さん(62)が案内してくれた。 花の庭 庭園内
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記者コラム「清流」 みそ汁の具は
私事だが、わが家の小学生と保育園児が最近、食卓に毎日出しているみそ汁を残すようになった。子どもの食はそもそも気まぐれだが、理由を聞くと「飽きた」と一言。確かに最近の具は大根とキャベツが交互だったかもしれない。 変化が必要かと思い、料理好きの弁護士とその恋人の食卓を描く某人気ドラマに登場し、気になっていたトマトのみそ汁を作った。具は半分に切ったプチトマトと玉ネギのスライス。ほんのり酸味が効いておいしく、器は空になった。 取材先で料理のプロに聞くと、みそ汁の具は「何でもあり」という。お薦めはソーセージやベーコン、ちくわなどのタンパク質と旬野菜の取り合わせで、卵やチーズも合うとか。ごま油やバタ
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妊産婦や乳幼児の避難生活日用品、備蓄不十分 静岡県内市町 静岡新聞社アンケート【国際女性デー2024】
地震などの災害時に女性や妊産婦、乳幼児が避難生活を送る上で必要になる日用品が、静岡県内の市町で十分に備蓄されていない実態が明らかになった。静岡新聞社が8日の「国際女性デー」に合わせて県内35市町に実施したアンケートで、1日時点で離乳食を備蓄しているのは4市町、赤ちゃん用おしり拭きは7市町にとどまった。調査した9品目中5品目で2割以下の市町にしか備蓄がなく、全市町に備蓄のない品目もあった。 調査品目は、内閣府が男女共同参画の視点を盛り込んで自治体向けにまとめた「防災・復興ガイドライン」で例示した備蓄品から抜粋した。最も浸透していたのは生理用ナプキンで27市町に備蓄があった。一方、女性用下着
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静岡人インタビュー「この人」 盆栽カフェをオープンした園芸店代表 深沢和典さん(静岡市清水区)
昨年9月、静岡市駿河区に盆栽カフェ「唐花」をオープンさせた「深沢種苗園芸」の代表。盆栽を知らない世代に見てほしいと、雑貨店などでの販売会やワークショップ開催にも力を入れている。苔(こけ)を寄せ植えする「苔テラリウム」の普及も図る。清水区出身、42歳。 ―カフェ開店の狙いは。 「園芸店を祖父から引き継いで以降、盆栽を扱うようになったが、高価で素人では手が出しにくいものというイメージが想像以上に強い。実物を見て理屈抜きに気に入ってもらえたら。ここ数年、特に若い人の関心が高いので、気軽に立ち寄ることができる場を作りたかった」 ―手に取ってもらう工夫は。 「清水区に窯元のある清梅焼(きようめ
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#注目トレンド 自分に似合う装い メークや髪形、AIが提案【NEXTラボ】
美容やファッションを巡る消費者の意識が変化している。流行を追うだけでなく、自分に似合う装いを大事にしたいと考える人が増え、県内でも個々に適したメークや髪形を人工知能(AI)を使って診断するサービスなどが人気を博す。気持ちも前向きになる、今どきのおしゃれとは―。 静岡県内に5店舗を展開する化粧品店「ふしみや」では、昨夏から商品選びを手助けするカウンセリングの一環として、AIを活用した骨格診断を導入している。大手メーカー資生堂のブランドと連動したサービスで、顔の骨格や特徴を診断し、似合うメークを提案する。静岡市葵区のセノバ店で、静岡大3年生の小林怜加さん(21)に体験してもらった。 まずは問
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男性育休3カ月未満87% 主要113社アンケート、 静岡県内企業定着道半ば【国際女性デー2024】
共同通信社は10日、主要113社に実施した社内の男女平等などジェンダー問題を巡るアンケート結果をまとめた。過去1年間に男性社員が取得した子ども1人当たりの平均育休取得期間が3カ月未満だった企業が87%に上った。一方、女性は6カ月以上が86%で、1年以上が6割近くとなり、取得期間に男女の間で大きな差がある実態が浮き彫りとなった。 大企業には昨年4月から男性育休取得率の開示が義務付けられた。有価証券報告書によると、アンケート対象企業のうち50社が取得率は8割以上と公表し、浸透してきていることがうかがえる。だが期間をみると、依然として女性が育児の中心的役割を担うという意識が根強いと言えそうだ。
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盆栽 気軽におしゃれに 静岡県内専門店 若者ファン獲得 インテリア感覚で楽しむ
自然の樹木を鉢の中に再現する「盆栽」。日本古来の伝統芸術として敷居の高いイメージもあるが、近年はインテリアとして、比較的若い樹木をおしゃれに仕立てた手頃な商品が出回る。県内にも手に取りやすい盆栽を提案する専門店が誕生し、若いファンを獲得している。 2023年9月に静岡市駿河区にオープンした「唐花」は、コーヒーや紅茶を楽しみながら盆栽を吟味できる「盆栽カフェ」。7年ほど前から盆栽を扱ってきた同市清水区の園芸店「深沢種苗園芸」が、時間を気にせずお気に入りの一点を選んでもらおうと開いた。 「座ってゆっくり悩んでもらえば。もちろん見るだけでも歓迎です」と同社代表の深沢和典さん(42)。同社の盆
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女性議員増加へ政党の熱意薄く 静岡市、政令市議会で唯一の10%未満
静岡市議会(定数48)に女性を増やすために活動する市民グループ「市政を身近に考える会」が、同市に拠点を持つ政党の支部や県連を対象に実施したアンケートで、女性議員増加に向けた積極的な対策を「講じている」としたのは、回答した8組織中3組織にとどまることが分かった。同市議会の女性議員は現職47人に対し3人、女性割合は6・4%と政令市中最低で、同会は「政党としての熱意を感じられない結果」と分析している。 回答組織 半数超「積極策講じず」 市民グループアンケート アンケートは今年7~9月、過去の同市議選で公認や推薦候補を出した実績のある国政政党の支部などを対象に実施。2025年春の次期市議選を前に
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「ディスクドッグ」キャッチ鮮やか 愛犬への理解深め一体感 磐田で大会
飼い主と愛犬が共に体を動かす「ドッグスポーツ」。さまざまな競技や種目があり、愛犬との関係を深めるアクティビティーとして人気が高い。磐田市で11月に開かれた「ディスクドッグ」の大会を訪ね、飼い主が投げる専用のディスク(円盤)を犬がキャッチする息の合った妙技に触れた。 (左)飼い主がディスクを投げ、犬がキャッチする「ディスクドッグ」。愛犬との相互理解が深まるという(右)ジャンプして見事にディスクをキャッチ=磐田市の天竜川河川敷運動公園 磐田市の天竜川河川敷にあるグラウンドの一角。「あと20秒-」。進行のアナウンスと軽快な音楽が響く中、グラウンドに設けられたコートの端から飼い主がディスクを
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記者コラム「清流」 少女エマからの警告
取材で「シェアレンティング」という言葉を知った。「シェア(共有)」と「ペアレンティング(育児)」を合わせた造語で、親が子どもの情報をネット上で共有することを指し、欧米では適切な在り方を巡る議論が活発という。 ドイツの通信会社「ドイツテレコム」が今夏、ネット公開した啓発動画を紹介されて閲覧した。親に多くの写真や動画を公開されている9歳の少女エマが、それらの情報を元に人工知能(AI)が生成した若い女性の姿で両親に警告する。 語られるのは実際のエマが発していない言葉、行っていない行動が捏造(ねつぞう)され、ネット上のからかいや犯罪に悪用される未来。技術の進歩はより巧妙で被害回復が困難な悪用も可
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SNSへの親子の生活投稿、慎重に 子どもの気持ち見極め大事【NEXTラボ #変わる暮らし】
多くの人がSNS(交流サイト)を利用する現在。子育てや子どもとの生活についての投稿が盛んになる一方、子ども自身が成長とともに拒否感を示したり、情報の悪用が心配されたりするなど、リスクの再認識が求められている。子どもの不利益にならないために親にどんな認識が必要か。経験者や有識者と考える。 誰もが知る名画を模写したどこかほほ笑ましい絵画作品で人気を博す親子アートユニット「アーブル美術館」。県内を拠点に2人の子どもたちと10年以上にわたって活動してきた藤原晶子さん(47)は、ウェブ上での子どもの情報発信について試行錯誤してきた。 作品を多くの人に見てもらおうと、活動開始と同時期にブログを始め
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旧ジャニーズ性加害問題 どう受け止める? 静岡新聞社アンケート【NEXT特捜隊】
旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による性加害問題は、社名やグループ名から「ジャニーズ」の名称が消える事態につながった。静岡新聞社のNEXT特捜隊には長年のファンという静岡県内の女性から「もう応援できない」との声も届いた。性加害問題とその影響をどう受け止めるかー。自由記述を含むウェブアンケートで聞いた。 【▶静岡新聞社NEXT特捜隊 LINE友達になる】 【アンケート概要】 13~15日にウェブ上で実施し、661件の回答があった。回答者の内訳はファンが約6割。静岡県外からの回答が4割強を占めた。年齢は50代が最も多く32・5%、次いで40代27・8%、60代14・
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愛犬と楽しく健康維持 SUPやバランスボール 浜松で体験会フェス盛況
犬の寿命が延びる中、愛犬の健康維持への関心が高まっている。9月30日と10月1日の両日、浜松市の浜名湖ガーデンパークで開かれた愛犬家向けアウトドアイベント「アニマルピックフェスタin浜名湖」(実行委主催、静岡新聞社・静岡放送共催)では、共に取り組めるスポーツの体験会などに人気が集まった。 会場に設けた8メートル四方のプールで行われたのは、気軽なウオータースポーツとして注目が高まる「SUP[サップ](スタンドアップパドルボード)」を愛犬と楽しむ体験会。参加者は愛犬と一緒にボード上に立ち、パドルを漕いで水面を進んだ。最後はボード上にあおむけになって目を閉じ、秋風を楽しんだ。 競技性のあるドッ
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記者コラム「清流」 蛙化しない若者
「蛙化(かえるか)現象」という言葉がある。好きだった相手が振り向いた途端に嫌悪感を覚える、相手のささいな言動で好意が急に冷めるといった状況を指す。SNSなどを介して広がり、10代後半から20代を中心としたZ世代の流行語にもなっている。 この言葉について地元の大学生に意見を聞いた。彼氏彼女をばっさり断じるような体験談を想定したが、協力してくれた4人は開口一番「蛙化されたら怖いよね」。「心情は分かるが、自分がそうなった経験はない」「〝被害者〟になったら嫌」と口をそろえた。 この言葉に共感が広がった背景には、相手への妄想が膨らみがちなSNSの普及や効率重視の価値観などが指摘される。ただ、「若者
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情報読み解く力学ぶ 静岡で講座 講師「主観鍛えて」
静岡市国際交流協会は16日、世界に通じる人材の育成を目指す「メディア・リテラシー講座」を静岡市役所静岡庁舎で開いた。高校生や一般参加者18人が、IT社会の進展で重要度を増す「情報を読み解き、発信する力」について学んだ。 講師は、東京五輪・パラリンピック組織委員会で「映像によるホストタウン魅力発信プロジェクト」を手がけ、市内の中高生も指導したメディアプロデューサーの榎田竜路さん(59)。映像制作の専門家としての立場から、情報を発信する上での「主観の大切さ」などについて語った。 講座は、市内の高校生が多文化共生イベントに出演する外国人を取材し、情報発信する「広報ワークショップ」の初回を兼ねた
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猫の幸せ願い保護活動 服部優二さん(浜松市東区)【君がいるから】
「元気なうちに、パートナーの茶トラに会わせてやりたい」。ケージの中に横たわる保護猫「翔平」に目をやりながら、浜松市東区で猫の保護活動を行う任意団体「浜松ねこシェルター」を運営する服部優二さん(60)はそうつぶやいた。翔平の顔の右半分は大きく腫れて血がにじみ、目のありかも分からない。 今年4月に「大けがをした野良猫がいる。捕まえてもらえたら面倒を見たい」との依頼を受け、市内で保護した。診察の結果は「扁平上皮がん」。重い病気と知った依頼者は「世話は無理」と前言を翻した。分子標的薬を使った治療が効いているものの、1回の治療にかかる費用は多い時で5万~6万円。クラウドファンディングで資金を集めつ
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傘の売り上げ好調 行動制限解けた夏 男性の日傘需要が下支え
新型コロナウイルスの流行による行動制限が解けた今年は、傘の売り上げが好調だ。外出機会の増加に加え、熱中症や日焼け対策として日傘を使う男性が増えていることも背景にある。静岡県内の小売店では性別を問わずに使える晴雨兼用傘などを中心に、機能性と手頃な値段を兼ね備えた商品が人気を集める。 静岡市葵区の家庭用品店「三保原屋」では今シーズン、傘の売り上げが前年の2倍近くに伸長している。下支えしているのは男性や、高校生など学生の日傘需要。堀高輔常務(36)は「暑さの厳しい夏が続くこともあり、日傘は誰もが使うものになりつつある。それに応じて商品も変化している」と話す。 同店の売れ筋は55センチ以上の晴雨
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ボランティア「まめっ隊」 「技術系支援」で力に 大雨で住宅浸水の沼津 難作業で存在感
昨年9月の台風15号豪雨で被災した静岡市清水、葵両区の住民を支援するため、静岡県中部のボランティア有志で結成した任意団体「しぞ~か・まめっ隊」が、梅雨前線と台風2号による記録的な大雨で浸水被害を受けた沼津市の現場で活動している。経験を生かして一般ボランティアには難しい床下での作業を担い、県内では数少ない“技術系ボランティア”として存在感を発揮している。 7日午前、2日からの大雨で床下浸水した沼津市原の民家。ヘルメットにライトを付けた作業着姿のメンバー2人が、納戸の床の開口部から床下に潜った。前日までに家人が水をかき出したものの、むっとした湿気が漂う。換気口の位置を確
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推しの存在は生きる指針 心救われ、仕事も前向きに【NEXTラボ 注目トレンド】
お気に入りのアイドルや俳優、キャラクターなどを「推し」と呼び、積極的に応援する「推し活」。国の消費者意識基本調査(2021年度)では、10代後半の4割超が「推し活にお金を使う」と回答するなど、若年層を起点に幅広い世代に広がっている。推し活の実際と、隆盛の背景を探った。 「ここを真ん中にするのはあり得ないよねー」。5月の連休の最中。静岡市葵区の堀内綾さん(31)は、自宅に泊まりに来た推し活友達の天野結菜さん(26)=愛知県=と、天野さんの推しが発売したソロアルバムのフォトブックを開いていた。推しの写真が折り目で切れ、背中に入った話題のタトゥーがよく見えない。「これを見たかったのに」と笑い合っ
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静岡人インタビュー「この人」 静岡市女性会館長に就任した 井藤喜美江さん(静岡市葵区)
静岡市女性会館の指定管理者「NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか」理事。同館管理事業課長を経て4月に館長に就任した。同市葵区のアイセル21を拠点に、2007年から講座や女性人材データベースの運営などを担当してきた。熱烈な韓国ドラマファン。55歳。 -館長としての抱負は。 「何の知識も経験もないままこの世界に入り、子育てしながら経験を積ませてもらった。恩返しのつもりで務めたい。調整型の人間なので、そこを強みにスタッフが楽しんで仕事に打ち込める環境をつくりたい」 -女性を取り巻く状況は。 「ジェンダー(社会的性差)という言葉の認知度は高まっているが、本質的な理解や格差の解消は進んでい