ボランティア「まめっ隊」 「技術系支援」で力に 大雨で住宅浸水の沼津 難作業で存在感

 昨年9月の台風15号豪雨で被災した静岡市清水、葵両区の住民を支援するため、静岡県中部のボランティア有志で結成した任意団体「しぞ~か・まめっ隊」が、梅雨前線と台風2号による記録的な大雨で浸水被害を受けた沼津市の現場で活動している。経験を生かして一般ボランティアには難しい床下での作業を担い、県内では数少ない“技術系ボランティア”として存在感を発揮している。

送風機を設置するため、浸水被害を受けた住宅の床下に入るまめっ隊のメンバー=7日午前、沼津市原
送風機を設置するため、浸水被害を受けた住宅の床下に入るまめっ隊のメンバー=7日午前、沼津市原

 7日午前、2日からの大雨で床下浸水した沼津市原の民家。ヘルメットにライトを付けた作業着姿のメンバー2人が、納戸の床の開口部から床下に潜った。前日までに家人が水をかき出したものの、むっとした湿気が漂う。換気口の位置を確かめ、貸与品の業務用送風機2台を設置した。
 作業前には、家財道具を汚さないよう、シートで周辺を丁寧に養生した。台風15号を契機に初めてボランティアに参加し、県外から訪れた専門ボランティアに同行して作業を学んだという吉本成美さん(34)=静岡市清水区=は「ボランティアだからこそ、作業には細心の注意を払いたい」と話す。住民の女性に終始笑顔で声をかけ、「何かあれば連絡を」と気遣った。
 同団体は発災間もない4日から、県災害ボランティア本部を通じた要請に応え、現地の被害状況の調査に協力してきた。5日以降は連日4人ほどが現地に入り、住宅の床下から水や泥をかき出し、送風機を設置する作業を続ける。今後もニーズがある限り支援を継続していく方向だ。
 団体の発足は昨年秋。静岡市災害ボランティアセンターの運営スタッフだった同市葵区の自営業千代幸嗣さん(42)が中心になり、被災者からの要請が多いにもかかわらず、一般ボランティアでは対応が難しい床下作業を担う人材を育てようと、活動頻度の高いボランティアを勧誘した。高校生や女性も含む幅広い年齢層の15人ほどが参加する。県外から支援に訪れた専門技術を持つNPO団体から、作業手順や安全管理の方法を実地で学んだ。
 さらに、小型重機やチェーンソーの操作を学ぶ講習会も実施し、今後、メンバーが必要に応じて、そうした機材を業務で扱う場合に課される特別教育を受けることも検討している。県内に少ない専門技術を持つボランティアとして、支援メニューを増やす考えだ。
 2004年の中越地震以来、各地で災害ボランティアを経験した千代さんは、台風15号豪雨災害について「県外ボランティアの組織的な活動に助けられた」と感じている。その上で「被災地域が限定的であれば、地元のマンパワー中心に対応が可能なはず。若い人も巻き込んで、いざという時に動ける体制を作っていきたい」と活動の活発化を期す。

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