記者コラム「清流」 少女エマからの警告

 取材で「シェアレンティング」という言葉を知った。「シェア(共有)」と「ペアレンティング(育児)」を合わせた造語で、親が子どもの情報をネット上で共有することを指し、欧米では適切な在り方を巡る議論が活発という。
 ドイツの通信会社「ドイツテレコム」が今夏、ネット公開した啓発動画を紹介されて閲覧した。親に多くの写真や動画を公開されている9歳の少女エマが、それらの情報を元に人工知能(AI)が生成した若い女性の姿で両親に警告する。
 語られるのは実際のエマが発していない言葉、行っていない行動が捏造(ねつぞう)され、ネット上のからかいや犯罪に悪用される未来。技術の進歩はより巧妙で被害回復が困難な悪用も可能にする。親には一層の見識と慎重さが求められていると感じる。
(生活報道部・西條朋子)

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