静岡人インタビュー「この人」 難聴児の支援に取り組む 植田宏さん(静岡市清水区)

 難聴児への理解、配慮を求める動画を作成した。難聴児の療育体制の構築にも力を注ぐ。県耳鼻咽喉科医会福祉医療委員会委員長。57歳。

植田宏さん
植田宏さん

 -難聴児の未来が昔と変わっている。
 「全く聞こえない赤ちゃんも難聴の早期発見、人工内耳や補聴器による補聴、適切な療育によって聞けて話せるようになり、通常学級に行ける可能性が高くなった。今は療育環境が不十分なため体制づくりに取り組んでいる。『難聴で生まれても安心して』と言える時代がもうすぐ来るかもしれない」
 -動画作成の狙いは。
 「通常学級で頑張ろうと思っても教師や友達が難聴の子どもに慣れていないため、本人が疎外感を感じたり、補聴器の装用を嫌がったりすることがある。動画を教室で見て難聴を知り、難聴児と当たり前のように接してほしいという願いを込めた」
 -就学支援委員会にもアプローチしている。
 「本県だけでなく、国内では聞けて話せるのに特別支援学校に通う子どもがたくさんいる。将来は手話の通じづらい社会で生活する。通常学級への進学が可能なら、聞いて話す環境に慣れることが必要。就学先を判断する委員会で主治医や医療関係者の意見をしっかり反映してもらうシステムを作った」
 -呼びかけたいことは。
 「難聴の赤ちゃんが将来、聞けて話せるようになるには早期に難聴を発見することが一番重要。出産を控える家庭は、出産直後の新生児聴覚スクリーニング検査を赤ちゃんへの初めてのプレゼントにしてほしい。明日生まれる難聴児に後悔させないように、私たちも医療、行政、教育が協力して療育体制を早急に整えられるように頑張る」

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