湖西市 水道スマートメーター整備【遠州7市町23年度予算案①】

 人口減少に伴う給水需要の減少を視野に、湖西市は2023年度、全国でまだ導入事例がない上水道のオフピーク制(時間帯別料金制)の検討を本格化させる。時間帯によって料金が変動する仕組みを取り入れてコスト削減につなげる狙いがある。「オフピーク制を導入すれば、全国初の取り組みになる」。影山剛士市長の決意は固い。

27年度までに湖西市内全戸への設置を進める水道スマートメーター(左下)。使用水量などのデータが自動で記録される=同市内
27年度までに湖西市内全戸への設置を進める水道スマートメーター(左下)。使用水量などのデータが自動で記録される=同市内

 市によると、現在の水道事業経営は安定している一方、将来的には給水対象者が減り、収益減や老朽化した設備の更新費増で36年度以降は赤字が続く見通し。全国的に水道インフラは更新時期を迎え、各自治体は費用負担の増加に頭を悩ませている。
 水道使用量が多い時間帯は料金を高く、少ない時間帯は低く設定するオフピーク制は、有力な対応策として期待が大きい。需要が集中する朝夕に水道使用の抑制を促し、1日を通じて平準化できれば、更新する管路口径の縮小化でコスト削減につながるメリットが見込める。
 市はオフピーク制導入を見据え、23年度予算案に水道スマートメーター整備費1億1500万円を盛り込んだ。通信端末機搭載のスマートメーターは、1時間ごと使用水量などを自動記録する。蓄積されたデータを基に、時間帯に応じた水道料金を設定する。
 スマートメーターは市北部の1890戸で実験的に整備済み。市は検針票の電子化や漏水の早期把握にも効果があるとして、27年度までに市内全域に規模を拡大する方針を打ち出した。
 実現すれば全国に先駆けた変革となるが、現状ではスマートメーターの導入コストは高い。市民負担への配慮と理解促進が課題になる。地方財政などに詳しい愛知大地域政策学部の菊地裕幸教授は「まだどこもやっていない実験。大学や専門機関と連携し、データの分析や活用の知見を深めてほしい」と指摘する。
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 遠州地域7市町が編成した2023年度当初予算案は、インフラ再整備や人口減少対策など未来への投資に焦点を絞った事業展開が目立つ。持続可能なまちづくりを目指す各自治体の戦略を探った。

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