袋井市 南側エリア整備【遠州7市町23年度予算案⑤】

 袋井市が都市拠点に位置付ける袋井駅南地区新幹線南側エリア。市は2023年度、機能強化に向けた整備事業に着手する。中長期的に取り組む一大事業は市民の発想や民間活力も取り入れ「治水機能とにぎわい・魅力を有した活力ある都市空間」の創出を目指す。

整備事業に着手する袋井駅南地区新幹線南側エリア周辺=袋井市内(市提供)
整備事業に着手する袋井駅南地区新幹線南側エリア周辺=袋井市内(市提供)

 「気軽に入れるカフェがあるとうれしい」「勉強できる場所を作ってほしい」。中学校で開かれた同エリアの将来像を考えるワークショップ。約30人の生徒が意見を出し合い、理想の街の姿を思い描いた。市は構想策定へ大学生や地権者らからも意見を募った。地域の声を参考にしながら成案化を進める。
 対象範囲は現在農地となっている30ヘクタールで、立地条件の良さから07年から都市開発が検討されてきた。居住地、アーバンスポーツ施設などの土地利用を想定。16年に整備着手し、現在は商業施設や医療施設などが立地する新幹線北側エリアとの相乗効果も期待する。市は23年度当初予算に、市場調査や測量の経費など2500万円を計上。3年かけて事業内容を決定する。
 事業の背景には浸水被害への対応がある。同エリアを含む秋田川流域は地形的に水が集まりやすく、昨秋の台風15号で近隣の高南地区を中心に被害が相次いだ。治水対策が急務で、構想は遊水池公園や雨水ポンプ場などの整備を優先的に進めるとした。高南自治会連合会長の宮内禎久さん(71)は「治水は以前から要望していたので大変喜ばしい。集客施設も大事だが、まずは有事に備えた施設の整備をお願いしたい」と市の姿勢を見守る。
 市は23年度から森町袋井インター通り線の整備や、同笠海岸を中心とする海のにぎわい創出事業も進める方針を示していて、10年後、20年後を見据えたまちづくりに乗り出す。大場規之市長は「全域で活性化を図り、袋井の総合力を高めていきたい」と強調する。

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