池の水全部抜く前に…希少カエルを救え! 子どもが生態系学び保護 改修控える長泉・ヴァンジ庭園

 昨年末から休館しているヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町)の人工池「鏡池」の改修工事を契機に、静岡県東部の有志が池の中の生き物の保護に取り組んでいる。池は貴重なカエルの生息地としても知られ、子どもの参加型イベントを開いて生態系保全の大切さを訴えている。

鏡池で夢中になって生き物を“救出”する子どもたち=2月中旬、長泉町のヴァンジ彫刻庭園美術館
鏡池で夢中になって生き物を“救出”する子どもたち=2月中旬、長泉町のヴァンジ彫刻庭園美術館
鏡池で見つかったヤマアカガエルの卵塊
鏡池で見つかったヤマアカガエルの卵塊
見つかったヤマアカガエル
見つかったヤマアカガエル
鏡池で夢中になって生き物を“救出”する子どもたち=2月中旬、長泉町のヴァンジ彫刻庭園美術館
鏡池で見つかったヤマアカガエルの卵塊
見つかったヤマアカガエル

 同美術館の飯野隆常務理事が「池の生態系を守れないか」と、学生時代にカエルの研究をしていたという知人の吉田大祐さん(三島市)に相談したところ、子どもたちが楽しみながら池の中の生き物を学べるイベントとして「鏡池生きもの救出作戦!」を考案した。子育て支援グループ「ママとね」(同市)と連携し、池の水を全て抜く前に生き物を保護するイベントの第1弾を企画。今後も観察会を重ね、変化を見守っていく。
 吉田さんによると、鏡池は準絶滅危惧種のモリアオガエルを含む多様なカエル類などの繁殖地。中でもヤマアカガエルと、減少が顕著とされる「要注目種」に指定されているアズマヒキガエルの繁殖期が2月末からの工期と重なるため、“救出”を急ぐ必要があった。
 県東部の親子連れやボランティア約60人が2月18日、救出作戦を敢行。193匹のヤゴをはじめマツモムシやハイイロゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウの計38匹、貝類、雄のヤマアカガエル1匹と卵塊五つを捕獲し、近くに設置した産卵場となるプール3台に移して無事保護した。プールにスロープをつけ、今回救出されなかった生き物が池から自力で逃れられる仕組みも整えた。
 改修工事業者、環境問題に取り組む「サバーソニック&アジロックフェスティバル」(伊東市)、ながいずみ観光交流協会の担当者らも立ち会った。飯野常務理事は「休館中も、地元の子どもが楽しみながら自然の中で学べる機会を設けたかった。美術館の生態系を未来につなげたい」と話した。
 今月25日の「さくらフェスタ」で1日限定で同館を開館した際、改修後の鏡池に生き物をかえすイベントを開く予定。

 ヤマアカガエル 本州の山地を中心に生息する在来のアカガエル。普段は森の中に生息し昆虫などを食べる。繁殖期の2~4月になると水田など浅い水辺に移動して産卵する。

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