記者コラム「清流」 山麓の営みに魅せられ

 目覚めと同時に窓から富士山を眺める-。富士支局時代から日課にして2年がたつ。日本一の山を望み産業に生きる富士の街は、発展と停滞が入り交じった独特なにおいがマスク越しでも鼻に届く。
 住民には不自由なき日常生活に対する満足感が漂う半面、人口県内3位の都市として相応とは言えない風格への憂いがにじむ。それでも、人々には霊峰を見上げる習慣が根付いている。地元の潜在能力を信じて上を向き、凝り固まった空気を変えようと奮闘する人々に数多く出会った。新型コロナ禍を乗り越え、秘めた熱意を開放する時が迫る。
 着任当初は山の美しさばかり探したが、いつしか麓の営みに魅了されていた。3月から少しだけ窓からの景色が変わった。次は何が見えるだろう。豊富な資源を記したい。
(富士宮支局・国本啓志郎)

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