静岡人インタビュー「この人」 小学校に自作の絵本の寄贈を続ける元中学校長 鈴木平さん(浜松市中区)

 生物学研究の大学助手や会社員を経て、31歳で父の故郷浜松市の中学教員になり、公立と私立の中学で校長を務めた。市教育委員会指導課で生徒指導も担当した。教員時代から書いていた子ども向けの物語を、画家の作画を加えた絵本として昨年から順次出版し始め、これまで2作品を市内全小学校へ寄贈した。中区の禊(みそぎ)教遠江教会で神職も務めている。73歳。

鈴木平さん
鈴木平さん

 ―絵本を書き始めた契機は。
 「市教委の指導課で不登校対策を担当し、各学校を巡って多くのケースに関わった。一人一人抱えている悩みが違い、とても難しい問題で、自分に何ができるか自問し続けた。幼い頃から心がほっとして落ち着く物語、発見する楽しさを感じられる物語に触れてもらうのが良いのではと考え、在職中から少しずつ書き続けてきた」
 ―出版の経緯は。
 「文章に自信はなかったが、友人に勧められて出版社のコンクールに応募したのを機に絵本として出版することになった。15作品ほど書きためてあり、現在3作目を制作している」
 ―物語の題材は。
 「1作目は人がタンポポや毛虫と対話して、悩みを聞いてあげる物語。2作目は何かと言い訳する子どもを母親が上手に納得させる物語。自然を題材にした作品が多く、日常のものごとに目を向けて想像や発見をしてほしいと思って書いている」
 ―絵本の魅力は。
 「親子などで一緒に読み聞かせができるし、主人公の気持ちに入り込んで想像力を広げられる。自然の中で不思議を見つけるのも、活字から内容を読み取るのも、新しい発見をする楽しさに通じる。小さな頃からできるだけいろいろな本に触れてほしい」

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