フルート奏者・青島由佳 宮殿の舞踏会“再現” 帰国10周年で演奏会

 フルート奏者の青島由佳(静岡市葵区)が、欧州からの帰国10周年を記念した演奏会を同区で開いた。「舞踏」をテーマに活動した2022年度の締めくくりとして、フランス・ベルサイユ宮殿の舞踏会の演奏曲を中心に選曲。古楽器の合奏で、中心市街地のホールにフランス・バロックの優雅な世界を現出させた。

バロック・フルートを演奏する青島由佳(左端)。共演は右から桜井茂(ビオラ・ダ・ガンバ)、石和美和(バロック・フルート)、前田りり子(同)、戸崎広乃(チェンバロ)=2月23日、静岡市葵区の札の辻クロスホール
バロック・フルートを演奏する青島由佳(左端)。共演は右から桜井茂(ビオラ・ダ・ガンバ)、石和美和(バロック・フルート)、前田りり子(同)、戸崎広乃(チェンバロ)=2月23日、静岡市葵区の札の辻クロスホール

 古楽器アンサンブル「バッハ・コレギウム・ジャパン」のバロック・フルート奏者前田りり子らを招いた。プログラムには17~18世紀を生きたフランスの作曲家の名が並んだ。
 マレ(1656~1728年)の「トリオ作品集より 組曲第1番ハ長調」では九つの楽章それぞれに、明瞭で動きのある旋律が聴かれた。青島と前田は、薄い紙の上に水彩絵の具をひと筆ひと筆置くような、繊細な音の重なりを表現。丸みのある二つの音が空間に解き放たれた瞬間に溶け、一つになった。
 宮廷音楽家のクープラン(1668~1733年)がイタリア音楽への憧憬[しょうけい]を込めた「組曲集『諸国の人々』第1組曲『フランス人』」では、フルート3本の技巧的なアンサンブルを展開した。哀感、激しさ、あでやかさ-。さまざまな表情をみせる小品が次々流れ出た。ビオラ・ダ・ガンバが場面転換のスイッチを入れるように、曲調の変化を先導した。
 青島は2012年に帰国後、地元・静岡で趣向を凝らした演奏会を数多く企画してきた。22年はバロック・ダンスのワークショップを通じて、舞曲のリズムを体感したという。節目のステージで「いろいろな人に助けられた10年だった」と振り返った。
 同演奏会は13日から27日まで、オンライン配信で見られる(有料)。「ツイキャス 青島由佳」で検索。

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