静岡人インタビュー「この人」 商店街とアーティストの交流創出に挑む 瀧瀬彩恵さん(富士市)

 吉原中央カルチャーセンター(YCCC)を2022年に設立し、富士市の吉原商店街に芸術家を短期滞在させて創作活動を支援する「アーティストインレジデンス」などを展開する。芸術家の感性を言語化して伝える翻訳活動にも取り組む。幼少期をアメリカで過ごし、同年7月に都内から富士市に移住した。33歳。

瀧瀬彩恵さん
瀧瀬彩恵さん

 -なぜ吉原を選んだ。
 「あらゆるものが集約されている都心部を離れたくて、面白そうなことをしている人がいる場所を探していた。音楽フェスの仕事で吉原の人と意気投合してすぐに商店街を訪ねると、ただの寂れた街ではないと直感した。個性豊かな店と元気いっぱいの同世代に引き寄せられた。地域が活発になり始めた時期での移住は幸運だと思う」
 -どんな取り組みを。
 「芸術家を商店街に呼び、空気感や人の営みを制作の発想に取り入れてもらう。独特な視点から生まれる作品は、商店街で働く人たち自身が気付いていなかった魅力を映してくれると期待している」
 -商店街と芸術の親和性は。
 「吉原はかつて宿場町だったからか、よそ者の価値観を好意的に受け入れてくれる雰囲気を感じる。芸術家は一般とは異なる感性があると思われがちだが、根底には皆と共感するものを持っている。商店街にはこだわりの強い人が多い。交流を通して互いに新たな発見があり、良い化学反応が起こるのではないか」
 -描く未来像は。
 「芸術を媒介に商店街の人同士の内面的なつながりを可視化したい。最終的にはたくさんの人に吉原を体験してほしい。ちょっと不思議で面白い場所だと感じるはず」
 (富士宮支局・国本啓志郎)

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