記者コラム「清流」 初心忘れるべからず

 浜松市中区の初めて利用したコンビニ店で、バッグを持参して買い物をした。会計の際、店員に「バッグを貸してください。(商品を)入れますよ」と、声をかけられた。何げない気遣いだが、初めて言われたので新鮮だった。
 学生時代の飲食店アルバイトの経験則だが、接客は慣れると、「ほどほど」になりがち。体力を温存しつつ、客に最低限の愛想を示すことができる“及第点”が分かってしまうからだ。コンビニ店員は手際の良さからベテランに見えた。しかし、さらりと基準以上のサービスを提供した。
 自分はどうだろう。まもなく入社4年目。心のどこかで及第点を探してはいないか。「初心忘れるべからず」とはまさにこのこと。コンビニでの気の抜けた買い物で、身の引き締まる思いがした。
(浜松総局・北井寛人)

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