帰宅困難者対策に本腰 県東部地域局 実情沿う取り組み支援

 静岡県東部地域局は、外出先で大規模災害に遭い帰宅できなくなる「帰宅困難者」対策を本格化させている。観光地や大型集客施設を抱える県東部はエリアによって人の流入状況が異なり、それぞれの実情に合わせた取り組みを後押しする。

事業所の担当者と意見交換する県東部地域局の職員=2022年10月、裾野市(同局提供)
事業所の担当者と意見交換する県東部地域局の職員=2022年10月、裾野市(同局提供)


 県東部が舞台になった東京五輪・パラリンピックの観客対応の一環で本格着手した。2021年度は各大型施設や事業所の立地状況、来訪者の属性や移動手段を調査。本年度は観光や産業振興に携わる市町職員や大規模事業所の担当者にヒアリングし、現状と課題を把握した。
 地域局によると、市町ごとの特色の違いが浮き彫りになった。大型集客施設が立地し日中に車で訪れる人が多い御殿場市と、電車で訪れる宿泊者が多い熱海市など、それぞれの実態に合わせた対策が求められるという。
 まずは多くの帰宅困難者を生む可能性がある大型施設や大規模事業所、新幹線駅の対策を支援する。各市町の防災担当部局と施設・事業所が対策を協議する場を設けるほか、県外の先進事例を紹介する機会をつくる。具体的な対策の検討に役立ててもらう。
 地域で働く人を帰宅困難者にしないため、事業者向けの啓発にも乗りだした。食料備蓄や訓練実施を促すチラシを作成して周知する。市町をまたいで通勤通学する人が目的地に向かう途中で被災するケースに備え、関係する全ての市町の防災情報を得られるようにと呼びかけている。
 担当者は「いざという時に落ち着いて行動できるよう対策して、安心して住み、訪れることができる地域にしたい」と話す。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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