記者コラム「清流」 人工池の中の生態系

 休館中のヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町)の象徴である「鏡池」は、貴重なカエルやトンボの繁殖地でもある。同館とボランティアは2月下旬、3月の改修工事を前に生き物の生態を守ろうと“救出作戦”を敢行した。親子連れや工事業者、カエルマニアが懸命に生き物を探す、活気に満ちたイベントだった。
 開館から20年、人工池の中には独自の生態系が築かれていた。企画した吉田大祐さんによると、産卵期は近隣の山に住むヤマアカガエルが水辺を訪れるのだそう。生き物が人為的に持ち込まれづらく、自然に囲まれている同館の環境の特異性を実感した。
 取材後、さらに卵塊が見つかり、仮設ビオトープに移した卵はオタマジャクシにふ化したという。臨時開館する25日の放流会が楽しみだ。
(東部総局・菊地真生)

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