青春のコロナ川柳「初デート 食事で発覚 マスク詐欺」 生徒の心の変化乗せ3年 静岡・安倍川中

 静岡市立安倍川中が、新型コロナウイルスの影響で一斉休校があった2020年度から校内コンテスト「コロナ川柳」を続けている。コロナ禍とともにあったこの3年。学校生活を“定点観測”した出品作をたどると、未来が見えない戸惑いや不安に始まり、やがて展望を持とうとしたり、困難を笑い飛ばそうとしたりという心の変化が見て取れる。

展示された「コロナ川柳コンテスト」の出品作=2月、静岡市葵区の安倍川中
展示された「コロナ川柳コンテスト」の出品作=2月、静岡市葵区の安倍川中

 本年度は「初デート 食事で発覚 マスク詐欺」「新しい 友の素顔を まだ知らない」「思ってた シチュウ感染 おいしそう」など応募作158点から6点が入選した。任意参加だが全生徒の7割が投稿し、審査員を務めた保健専門委員長の川崎陽彩さん(2年)は「今しか作れない『あるある』を集めた力作がそろった」と話す。
 コンテストは20年12月、当時の保健専門委員長の発案で始まった。修学旅行などの行事が軒並み縮小や延期され、「なくなった コロナのせいで 京都奈良」「人混みで 脳が勝手に 拒否反応」「前までの 顔のすずしさ 懐かしさ」と、困惑を表す作品が目立った。21年は「リモートで 上は制服 下パジャマ」「十年後 みんなの口から あの頃なー」などウイットに富んだ作品がみられるように。
 静岡英和学院大の永山ルツ子学長(認知心理学)は各年の入賞作について「初年には強い不安が感じられるがだんだんと展望が持てるようになり、今年は突き抜けた明るい作品が目を引く。生徒の心理の変化は世相を象徴しているよう」と話す。
 国の方針で、4月1日以降の新学期からは学校でのマスク着用が求められなくなる。今年の選外の作品には「もうなんか マスクはずすの すごくいや」と外したくない生徒の川柳もあった。川崎委員長は「生徒の視点は徐々に変わる。次にどのような作品が出品されるか楽しみ」と話す。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞