「目の前の困っている人に全力尽くす」 トルコ地震救援活動 聖隷浜松病院の伊良部さん 

 死者5万人以上、負傷者11万5千人以上の被害が出たトルコ・シリア大地震の被災地で2月23日~今月9日、聖隷浜松病院(浜松市中区)医師の伊良部真一郎さん(43)が国際緊急援助隊の一員として活動した。23日に同病院で静岡新聞社の取材に応じ、過酷な環境下で被災者の命を守る活動に携わった経験を振り返りながら「医師の基本に立ち返ることができた」と語った。

被災地で活動する伊良部真一郎さん=トルコ(JICA提供)
被災地で活動する伊良部真一郎さん=トルコ(JICA提供)
被災地での活動を振り返る伊良部医師=23日、浜松市中区の聖隷浜松病院
被災地での活動を振り返る伊良部医師=23日、浜松市中区の聖隷浜松病院
トルコ・ガジアンテプ県の震源、アンカラ
トルコ・ガジアンテプ県の震源、アンカラ
被災地で活動する伊良部真一郎さん=トルコ(JICA提供)
被災地での活動を振り返る伊良部医師=23日、浜松市中区の聖隷浜松病院
トルコ・ガジアンテプ県の震源、アンカラ

 伊良部さんは同病院で肝胆膵外科と外傷救急外科の主任医長を務める。国際貢献に関心があり、海外支援の医療チームに以前から登録していた。援助隊としての海外活動は今回が初めてで、震源地に近いトルコ南東部のガジアンテプ県オーゼリー地区に派遣された。
 地震が起きた2月6日から2週間以上が経過し、長引く避難生活で持病が悪化したり、負傷部分から感染症を発症したりした被災者の入院対応や手術を担当。日本全国から集まった医療チームということで「限られた薬や点滴の種類などについて細かなコミュニケーションを心がけた」という。
 夜はマイナス5度の凍える中で寝袋で眠り、昼間は30度にまで気温が上昇するテント内で活動した。英語が話せる被災者は少なく、言葉の壁もあったが、親日国トルコということもあり、日本語を学ぶ現地大学生らが通訳してくれたという。
 自身も被災者でありながら援助隊の活動を手伝い、感謝までしてくれた現地住民。その姿に「患者に誠意を持って寄り添うという基本に立ち返らされた」と話す。総合病院の医師として普段は高度な医療機器を使い、難易度の高い手術を行うことに重きを置かれる場面もある。それでも今後については「被災地で再確認できた、目の前の困っている人に全力を尽くすということを続けたい」と思いを新たにした。

 

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