災害時 歴史資料どう守る 静岡市歴史博物館で講座

 静岡県博物館協会(事務局・県立美術館)と静岡市歴史博物館は、災害時の歴史資料や文化財の救出を学ぶ講座を、同市葵区の同館で開いた。阪神大震災を契機に発足した歴史資料ネットワークの奥村弘代表委員(神戸大副学長)が、同ネットの活動事例を交えて語った。

歴史資料ネットワークの活動や災害時の地域史料の保全活動のポイントを語った奥村弘神戸大副学長(奥)=静岡市葵区の市歴史博物館
歴史資料ネットワークの活動や災害時の地域史料の保全活動のポイントを語った奥村弘神戸大副学長(奥)=静岡市葵区の市歴史博物館

 全国約30組織と緩やかに連携する同ネットの保全対象について「被災した歴史資料だけでなく、被災の状況や生活の復興過程を示す災害資料も重要」とした。
 災害発生から資料救出、修復までのプロセスも解説した。文化財保護活動を行う人と、文化財の所在地や所有者との関係について「災害の前から相互に知り合っていることが大事。地域全体でそのエリアにある遺産を把握し、重要性を認識する必要がある」と強調した。
 被災した資料を文化遺産として捉え、その役割について、大規模自然災害からの復興をデザインする▽地域の被災者を励ます▽被災者や支援者を結び付ける▽大規模災害の記憶を継承し、災害に強い文化を創出する-の4項目を挙げた。「忘れられがちだが、歴史文化関係者が元気に活動できることが前提。生存していればこそ、未来に歴史をつなぐことができる」と締めくくった。
 県内各館の学芸員、文化財保存活動の関係者ら約40人が耳を傾けた。2022年9月の台風15号で資料の一部が水難に遭った静岡平和資料センター(同市葵区)の田中文雄センター長が、被害の状況と修復活動の現状を報告した。県文化財課の担当者による「県文化財保存活用大綱」の解説もあった。

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