翠富士 “春”沸かす大相撲 破竹10連勝、迫った静岡県勢初賜杯

 本県出身力士初の優勝には届かなかったが、幕内最軽量117キロの小兵が春の大阪を沸かせた。大相撲春場所千秋楽(26日、エディオンアリーナ大阪)。焼津市出身の翠富士(26)=本名・庵原一成、伊勢ケ浜部屋=は正代に敗れ、10連勝からの5連敗で今場所を終えた。チャンスを逃した悔しさはあるが、土俵で間違いなく主役の一人になった。

正代に敗れ、引き揚げる翠富士=26日午後、エディオンアリーナ大阪
正代に敗れ、引き揚げる翠富士=26日午後、エディオンアリーナ大阪

 これまで、必殺の「肩透かし」を武器に業師のイメージが強かったが、今場所は大型力士の当たりを受け止め前に出る正攻法。終盤こそ出足が鈍ったものの、生来の負けん気と卓越した技術に、地道に鍛えた肉体がついにかみ合ってきた。
 14日目に大栄翔に敗れ優勝の可能性が消えた直後、「単独首位の緊張感を経験できた。次は慣れていると思う」との言葉には賜杯への決意がにじむ。15日間を戦い抜き「いつもより悔しい。もっと体をでかくして来場所に臨む」と、さらなる飛躍を期した。
 本県相撲界初の快挙に迫った26歳に関係者も賛辞を惜しまない。やいづ少年相撲クラブで翠富士を指導し、初場所前には化粧まわしを送った地元有志による「静岡翠虹会」の中島智博代表(48)=焼津市=は「破竹の10連勝はすごかった。来場所の番付は三役の手前だと思うので、頑張って(小結に)上がってほしい」とたたえた。飛龍高相撲部の恩師・栗原大介監督(46)も「2桁勝利は立派な数字。ただ、本人は納得していなかったのでさらに強くなるなと思った。来場所が勝負。この成績を継続してほしい」と期待した。

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