良質、身近な音楽届けて40年 静岡、浜松の「友の会」が節目

 親子で楽しめる本格的なクラシックコンサートを提供したい-。1983年に静岡、浜松両市で当時の市民グループが創設した二つの音楽団体が2023年度、ともに40周年を迎える。両市の音楽文化の担い手としての自負を胸に、さらなる活動充実を期す。

静岡音楽友の会の「四季のコンサート」でバリトン中鉢聡さん(右)のピアノ伴奏をする三城苑子代表=2月中旬、静岡市葵区の静岡音楽館AOI(写真部・田中秀樹)
静岡音楽友の会の「四季のコンサート」でバリトン中鉢聡さん(右)のピアノ伴奏をする三城苑子代表=2月中旬、静岡市葵区の静岡音楽館AOI(写真部・田中秀樹)
浜松音楽友の会の「四季のコンサート」に登場したKatoooon楽団=2022年4月、アクトシティ浜松(同会提供)
浜松音楽友の会の「四季のコンサート」に登場したKatoooon楽団=2022年4月、アクトシティ浜松(同会提供)
静岡音楽友の会の「四季のコンサート」でバリトン中鉢聡さん(右)のピアノ伴奏をする三城苑子代表=2月中旬、静岡市葵区の静岡音楽館AOI(写真部・田中秀樹)
浜松音楽友の会の「四季のコンサート」に登場したKatoooon楽団=2022年4月、アクトシティ浜松(同会提供)


 「必要に迫られて、生み出した」。静岡市で年4、5回の「四季のコンサート」を開催する「静岡音楽友の会」の三城苑子代表(76)は、子育てしながらピアノを指導していた40年前を振り返る。当時は子連れで入れる演奏会がなく、自ら母親仲間約10人と託児サービス付きの演奏会シリーズを始めた。
 年会費4千円で4回の演奏会が聴ける低廉な価格設定。初年度は千人超が集まった。スタッフは無給で、会費は会場費と出演料に充てた。過去の出演者には小澤征爾さんを筆頭に、ビッグネームが並ぶ。会の趣旨を丁寧に説明し、同意を得た。
 現会員は約300人。年に演奏会4、5回のスタイルは崩していない。「いい音楽を自分が聴きたいし、みなさんにも聴いてもらいたい、という一心」と三城代表は強調する。創設期から関わる音楽事務所「ヒラサ・オフィス」(東京)の平佐素雄代表(73)は「これほど息の長い活動は全国でも異例。三城さんの音楽への情熱があってこそ」とたたえる。
 「静岡-」の姉妹団体のような存在として誕生したのが「浜松音楽友の会」。当初は共同で出演者の招聘(しょうへい)を行っていた。運営スタイルはほぼ同じで、現在も会員約800人に年4回の演奏会を提供する。
 旗揚げメンバーの太田久美子代表は「日常に音楽があるまちを作りかった」と創設の志を語る。2014年には、会場だった市教育文化会館の休館を機に活動終了を決めた(後に撤回)。コロナ禍に見舞われた20年度は、全4回を中止した。
 曲折を経てなお、団体は続いている。太田代表は「初年度から通う方もいる。家族で楽しめる演奏会を続けていく」と決意を新たにした。


新年度の会員を募集
 「静岡音楽友の会」「浜松音楽友の会」はそれぞれ、新年度の会員を募集している。
 「静岡-」は全て静岡市葵区の静岡音楽館AOIが会場。4月5日の高橋礼恵さんとビョルン・レーマンさんのピアノ連弾で幕開けする。6月9日には植木昭雄さん(チェロ)と三浦謙司さん(ピアノ)が登場する。後半は10月4日、11月9日。全4回で会費は一般5000円、大学生以下2900円。問い合わせは同会<電054(253)7789>へ。
 「浜松-」の40周年は4月9日、バイオリニスト木嶋真優さんの演奏会が皮切り。8月7日のバリトン大西宇宙さんが続く。10月10日、12月14日にも予定する。全4回で会費7000円。会場は浜松市中区のアクトシティ浜松。問い合わせは同会<電090(7034)5890>へ。

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