「未来へ」ゾウの絵贈る 福島・大熊町の子どもへ最後の支援 伊豆の国のボランティア団体

 東京電力福島第1原発事故後、避難生活を送る福島県大熊町の子どもの支援を2013年から毎年続けている伊豆の国市のボランティア団体「YAMANEKO楽舎(がくしゃ)」(市川幸子代表)が最後の支援活動として同市にアトリエを持つオーストラリア人画家、エドワード・カーさん(69)が描いたアフリカゾウの絵を子どもたちに贈った。支援がいったん区切りを迎えた市川代表(61)は「子どもたちには前向きに頑張る姿勢で未来を切り開いてほしい」と願った。

最後の支援活動を前に思いを話す「YAMANEKO楽舎」の市川代表(右)とカーさん(左)=伊豆の国市
最後の支援活動を前に思いを話す「YAMANEKO楽舎」の市川代表(右)とカーさん(左)=伊豆の国市
福島県大熊町 会津若松市
福島県大熊町 会津若松市
最後の支援活動を前に思いを話す「YAMANEKO楽舎」の市川代表(右)とカーさん(左)=伊豆の国市
福島県大熊町 会津若松市


10年の活動に区切り 復興への思い届け  カーさんは同団体による福島の現状を語る講演会に参加し、支援活動に賛同した。絵の題材にアフリカゾウを選んだのは、多くの野生動物が生息するアフリカ・タンザニアのセレンゲティを訪れた経験からだ。カーさんによると、アフリカゾウは年長の雌を中心に、力を合わせて子どもたちを守り抜く。記憶力が良く、記憶とともに生きていくといい、「被災した子どもたちが大きくなった時に、両親や大人のサポートがあったことを思い出しながら前を向いてほしい。福島の子どもたちにとってシンボリックな絵になれば」と願いを込めた。
 現在同県会津若松市に仮校舎があり、同市などに避難している大熊町の子どもたちが通う町立の義務教育学校「学び舎(や)ゆめの森」が、4月から同町に戻って授業を始める。それと同時に地元へ戻る小中学生もおり、市川代表は復興が進んできたと感じ、一区切りと捉えた。「子どもたちは被災したことを感じさせないくらいに元気。われわれが励まされた」と約10年間を振り返った。
 同団体は今後、松ぼっくりやドングリなど自然素材のクラフトづくりの時間を使い、地元の子どもたちに福島での支援活動で感じた環境のあり方や命の大切さを伝える。市川代表は「福島が抱えているたくさんの課題に何らかの形で向き合っていきたい」と見据える。

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