カツオ盗、被害船主と和解へ 焼津漁協の防止策評価 解決金支払い

 焼津市の焼津漁港を舞台にした冷凍カツオの窃盗事件で、被害に遭った船主のうちの10社が4日、静岡県庁で記者会見し、解決金を支払うとした焼津漁業協同組合からの和解申し入れについて受け入れる考えを明らかにした。漁協によると、残りの船主もおおむね和解に応じる意向を示している。

焼津漁協からの和解申し入れに応じる意向を説明する船主ら=4日午後、県庁
焼津漁協からの和解申し入れに応じる意向を説明する船主ら=4日午後、県庁

 船主側によると、解決金の支払いは損害賠償請求訴訟で焼津漁協や漁協職員、元職員を被告から外すことが条件。和解を受け入れることにした10社は極洋水産(焼津市)や明豊漁業(宮城県)など。提示された解決金額に納得できない部分はあるものの、漁協の再発防止策を評価したという。
 焼津漁協は3月、解決金として15社に総額6億7千万円を支払う方針を示していた。船主側の被害額について、資料で確認できる2015年から7年間で19億円から25億円と推測。この被害額をベースに漁協の責任度合いなどを勘案し、15社への支払い総額を4億円と算出した。加えて今後3年間、各船主が1回水揚げするごとに水揚げ金額の0・5%を返すことにしていて、3年間の総額を2億7千万円と見積もっている。
 会見で明豊漁業の松永賢治社長は「市場の改善案がかなり進展し、謝罪もあった」と和解に応じる理由を説明した。極洋水産の青木宏行会長も「全てのステークホルダー(利害関係者)を公正にコーディネートする漁協であってほしい。新体制になり、変わろうとしているのが目に見えて分かる」と述べた。
 一方で今後、窃盗に関わったとされる水産加工会社などを相手取って損害賠償請求訴訟を起こす考えだ。
 漁協によると、残りの船主からも和解に応じる意向や「もう少し検討時間がほしい」といった要望が届いている。和解を拒否するとの回答はなかったという。

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