慢性疲労症候群 闘病の日々、思い一冊に 磐田の女性「同じ悩み持つ人の役に」

 強い倦怠(けんたい)感などを引き起こし、日常生活が困難になる「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」と診断された磐田市壱貫地の横山小寿々さん(47)がこのほど、闘病生活の経験や日々の思いを1冊の本にまとめた。夫のサポートを受けながら執筆した横山さんは「同じような症状で悩む人や家族の心を少しでも軽くするお手伝いができれば」と話し、病気への正しい理解を求めている。

本を手に取る横山小寿々さん(中央)と家族=2月中旬、磐田市壱貫地
本を手に取る横山小寿々さん(中央)と家族=2月中旬、磐田市壱貫地

 横山さんが体調に異変を感じたのは、セラピストとして働いていた5年前。自宅で料理中に全身に痛みを感じ、使っていたフライパンが持てなくなった。微熱や頭痛も併発したが「数日休んだら治る」と自分に言い聞かせて普段通りに過ごした。その後も治まる気配はなく、首や肩をハンマーでたたかれたような痛みに加え、自宅の照明が過度にまぶしく感じるようになった。
 脳神経外科や整形外科、内科など検査で病院を転々としても異常は見つからなかった。横山さんはウオーキングやヨガ、筋トレなども試したが、むしろ症状は悪化し、寝たきりになった。三島市の病院で「慢性疲労症候群」と診断されるまで2年かかった。
 慢性疲労症候群の原因は不明。専門医も少なく、治療は確立されていない。横山さんは「診断にたどり着き、この痛みと辛さが病気だったと分かってほっとした」と当時の心境を振り返る。
 診断後、症状や支えてくれる家族とのやりとり、病気と向き合う中で見いだした人生のやりがいをネットに投稿してきた。「私のように病名探しで悩む人が減ってほしい」と書籍化を出版社に提案。1年半かけてつづった投稿が全190ページの単行本「奇跡を、生きている」(青春出版社)として発売された。
 横山さんは「病気になって人生に絶望し『自分は何もできない』と否定的になっていたが、セラピストの経験を生かして誰かの役に立ちたいと思った。悩んだ時に手にとってもらいたい」と話している。

 <メモ>筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 健康だった人が突然激しい倦怠(けんたい)感に襲われ、少なくとも半年以上、症状が続く病気。十分な休養や睡眠を取っても回復せず、微熱や筋肉痛、記憶力低下などさまざまな症状を伴う。国内の患者は約30万人と推定され、明確な治療法は確立されていない。慢性疲労症候群という名称から、「精神の病」「疲れに弱い人」など誤解や偏見を受けることもあり、正しい理解が求められている。

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