時論(4月13日)モロボシ・ダン なぜ片仮名か

 新学期が始まった。出席をとる時、児童生徒の名前の読みに難儀している先生もいるのでは。それとも今は名簿に読み仮名が振ってあるのか。
 ウルトラセブンが地球人として活動する際の名はモロボシ・ダン。なぜ片仮名なのだろう。ウルトラ警備隊もキリヤマ隊長、ソガ隊員、アマギ隊員と片仮名。友里アンヌ隊員は姓に漢字があり、毒蝮三太夫さんが演じた隊員はフルハシ・シゲルだった。
 毒蝮さんはウルトラマンにも科学特別捜査隊・アラシ隊員役で出演。科特隊はほかにムラマツ隊長、イデ隊員など。ウルトラマンはハヤタ隊員。
 これが帰ってきたウルトラマンになると、主人公で先月74歳で亡くなった団時朗さんが演じたのは郷秀樹。MAT(モンスター・アタック・チーム)メンバーも、丘ユリ子隊員に片仮名があるが、それ以外は漢字で表記された。
 SF感を出すには片仮名、リアリティーや親近感には漢字ということだろうか。
 戸籍の氏名に片仮名で読み仮名を記載する法改正案が今国会に提出され、来年度施行の運びだ。「光宙」を「ピカチュウ」と読むのは可とすべきか。意味と音を持つ漢字と、音だけの片仮名、平仮名を使う日本語表記の豊かさゆえの議論だろう。意味も音も、何より子供の幸せを祈って命名する父母の願いを思う。
 では、モロボシ・ダンに漢字を当てるとどうなるか。実在する諸星はいいとして、弾、檀、暖…。「打安」は読めるが、「七」は無理がありそう。セブン(ダン)は外星人だから、やはり片仮名表記か。
 ミュージシャンや芸能人にいるように片仮名の名前はかっこいい。呼ばれ間違いもない。戸籍法改正の一連の記事を読み返してそう思った。

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