記者コラム「清流」 ハンドルを握る資格

 運転中、取材現場にいかに早く着けるかを考える。直線だが渋滞のリスクがある大通りを行くか、遠回りでも信号のない路地に抜けるか悩む。住宅街の道に入ると、見慣れない緑色の道路標示があった。「キッズゾーン」と書かれている。
 標示のある幼稚園前は幅員が狭く、すれ違うときは路肩へはみ出す。ラッシュ時に大通りへの抜け道となり、スピードを出す車が多い。園児の外出時は複数の職員が車道側を歩いて守らなければならない。園関係者は「標示を見て減速してくれたら」と願う。
 自動車学校で誰しも「周囲の安全確保」を教わる。標示がなくても道路状況を見て減速が不可欠と分からなければ、運転免許の意味がない。新年度を迎え、慣れない道を走る場面も多くなる。広い視野を持つことは全運転者共通の義務だ。
 (富士宮支局・国本啓志)

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