静岡人インタビュー「この人」 改修前の池で生き物保護イベントを開いた 吉田大祐さん(三島市)

 休館中のヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町)の人工池「鏡池」の改修工事を前に、池の中の生き物を保護するプロジェクト「鏡池生きもの救出作戦!」を企画した。土木系県職員の傍ら、「かえる探偵」として子どもたちに生きものを知る楽しさを伝える活動に取り組む。函南町出身。42歳。

吉田大祐
吉田大祐

 -企画のきっかけは。
 「私設図書館『あひる図書館』(三島市)で本を貸し出す本棚オーナーの連携で生まれた企画。学生時代の研究を機に大好きになったカエルの本を図書館に並べたところ、同美術館の飯野隆常務理事から『工事時に生きものに配慮したい』と相談を受けた。美術館を訪れた際に池にカエルがいるのを見かけていたので、興味を持ち快諾した」
 -取り組みの内容は。
 「改修工事とヤマアカガエルの産卵時期が重なったため、水を抜く前に生き物を仮住まいのプールに移した。イベントでは本棚オーナーの山内知恵子さんにカエルやトンボの科学絵本の読み聞かせを依頼。直前まで懸命に生き物を捕獲していた子どもが座って聞き入っていた」
 -取り組みの結果は。
 「ヤマアカガエル57匹や卵塊、ギンヤンマなどのヤゴ、ゲンゴロウ類などを救出。カエルは近くの池に移し、工事後の池にオタマジャクシやヤゴを戻すことができた。水域と陸域の両方の環境が必要なカエルやトンボは、個体数や種数が生物多様性の指標になる」
 -今後の展望は。
 「ヤマアカガエルが変態し、準絶滅危惧種のモリアオガエルが産卵する6月ごろ、また鏡池で観察会を開きたい。継続的に開くことで、身近な生きものや生物多様性に興味を持ってもらえたらうれしい」

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