記者コラム「清流」 子育て施策、地道に

 浜松に赴任して、就職や転勤を機に移住した静岡県外出身者に話を聞く機会が増えた。土地勘がなく、地域情報をゼロから収集し、人間関係を一から築く彼らの言葉は新鮮だ。
 人口流出が続く本県。取材で知り合った首都圏から移住した母親に「ずっと住めそうか」と問うと、「本当にここで安心して子育てしたいと思える環境かが大事」と返ってきた。金銭的な負担軽減の施策以外にも、相談場所や親同士のつながり構築など精神的な充足感が得られる環境の必要性を示唆していると感じる。
 少子化の進行が加速する中、全国の自治体が子育て施策の充実を“競う”。確かに給付的な事業はわかりやすいが一過性にも見える。一人一人に響く地に足がついた策が、遠回りのようで、重要ではないか。
 (浜松総局・山本雅子)

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