静岡人インタビュー「この人」 遠州織物のベビー用品「はままつBABYBOX」を企画した 桂川美帆さん(浜松市中区)

 育児支援や産地振興を目的にした遠州織物のベビー用品パッケージを企画・運営する「BABYBOX(ベビーボックス) Supporters(サポーターズ)」代表。東京芸大大学院で博士号(美術)取得。染色作家として活動する。2019年4月、大学教員の夫の転勤を機に浜松に移住した。4歳と2歳の2児の母。東京都出身。36歳。

桂川美帆さん
桂川美帆さん

 ―活動の経緯は。
 「子供が誕生したばかりで、育児の情報が得られず不安ばかりの新生活だった。そんな時に出会ったのが、遠州織物のからみ織りの生地。独特の風合いに目を奪われ、伝統の技術に魅力を感じた。一方で、後継者不足などの産地の課題も知った。育児支援と産地活性化に何かできないかと、繊維企業の担い手や自分と同じ移住者、母親ら5人で企画を進めた」
 ―3月に始めた受注状況は。
 「おくるみ、抱っこまくら、スタイ、手ぬぐい、バスタオルに加えて、モビール、包装箱の計7点。織り、染め、後加工など20近くの企業・団体の協力に広がった。20件の受注を受け、第1弾を発送した。家族や友人、自分用、市内外や海外向けなど多様なニーズを実感した」
 ―製品に込めた思いは。
 「子供が誕生時から地場産業の繊維に触れることで愛着がわくし、保護者も身近で高品質な生地に安心感が増す。受注が増えれば、関連産業にも波及する。垣根を越えて動くことで一つの変化の流れがつくれたら」
 ―プロジェクトの方向性は。
 「まずは認知度を高めたい。ベビーボックスは、フィンランド政府が育児用品の詰め合わせを家庭に無料で贈る事業に由来する。将来、県や市が地元の良いものを届け、子育てを応援するような仕組みに発展するとうれしい」

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