ベルテ静岡B2へ 「故郷にプロバスケ」情熱は実った 創設メンバー大石選手(沼津出身)安泰捨てた挑戦

 ベルテックス静岡を象徴する背番号「1」が歓喜の瞬間を迎えた。1日のバスケットボールBリーグ3部(B3)プレーオフ準決勝第3戦。大石慎之介(35)=沼津市出身=は試合終了と同時に拳を突き上げた。埼玉に競り勝ち悲願のB2昇格。クラブ創設メンバーでただ1人残るリーダーは「4年間は長かった。でも、すぐに上がるより、積み重ねて上がれたことがうれしい」と感慨に浸った。

チームメートの好プレーに拳を握って喜ぶ静岡の大石慎之介(左から3人目)=1日午後、さいたま市の浦和駒場体育館(写真部・小糸恵介)
チームメートの好プレーに拳を握って喜ぶ静岡の大石慎之介(左から3人目)=1日午後、さいたま市の浦和駒場体育館(写真部・小糸恵介)

 2018年6月、B1三遠ネオフェニックスを退団した大石は、静岡の前身で、同年春に発足した静岡エスアカデミア・スポーツクラブに入団した。Bリーグを目標に掲げてはいたが、県社会人リーグからのスタート。長年プレーしたトップリーグから、はるかにカテゴリーが下の市民クラブへの移籍だった。
 同年2月に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負ったものの、三遠からは契約更新に加え、将来的なフロント入りも打診されていたという。未来は安泰だった。ただ、リーグ規定で浜松での試合が減り「小学校からプロまで、ずっとプレーしてきた静岡を離れていく寂しさがあった」。
 決断の決め手は「生まれ育った街にプロチームを」という思い。幼少期、トップ選手のプレーに胸を躍らせたように、今度は自分が「子どもたちの目標となる舞台を作りたかった」と振り返る。
 アマチュア選手が大半だった1年目からクラブにプロ意識を植え付けてきた精神的主柱は昨季からオフコートキャプテンを務める。埼玉戦は出場機会がなかったが声をかけ、前日練習では「ここまで来たら気持ちだけ。主導権を握って戦おう」と語りかけた。「選手、フロントとも一つになって戦えた。今までで最高のゲーム」と、クラブの成長をかみしめた。

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