乳がん患者の脱毛緩和 静岡赤十字病院 頭部冷却装置を導入

 静岡赤十字病院(静岡市葵区)はこのほど、乳がん患者に化学治療で生じる脱毛症状を緩和する頭部冷却装置「パックスマン」を導入した。治療に伴う外見の変化を抑えることで、患者の精神的負担を減らす効果が期待される。

化学治療で生じる脱毛症状を緩和する頭部冷却装置「パックスマン」=静岡市葵区の静岡赤十字病院
化学治療で生じる脱毛症状を緩和する頭部冷却装置「パックスマン」=静岡市葵区の静岡赤十字病院

 頭部にかぶせる専用キャップにマイナス4度の冷却水を循環させて頭皮の温度を約19度に保ち、毛根周辺の血流を減らすことで到達する薬剤量を少なくして脱毛を抑制する。県内では県立総合病院(同区)なども使用しているが、まだ導入例は少ない。
 治療時間は薬剤投与中とその前後の計約3時間半。効果に個人差はあるが、通常の化学治療から約半年後の発毛に比べ、早期に発毛した事例も確認されている。自費診療で、1回1万6500円の治療費と、キャップの購入費9万9000円が必要。
 同病院では導入後、8人が利用を開始した。利用者からは「最初は頭が冷たいが徐々に慣れた」「脱毛が少なくウィッグを使っていない」といった声が聞かれるという。同病院の菊池雅之医師は「女性患者にとって外見の変化は大きな問題。脱毛の不安で化学治療をためらう患者の選択肢の一つになれば」と話した。

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