ひとり親家庭向けにオンライン講座 静岡の起業家がサービス開始 教育格差のない社会へ

 シングルマザーの生活向上を理念に事業を展開するヴァリオス(静岡市駿河区)社長の石光さん(39)が一般社団法人「ままoneアカデミー」を設立し、非営利でひとり親家庭向けのオンライン教育サービスを始めた。英会話など子ども向け講座と、母親がビジネススキルを学べるプログラムを提供する。石さんは「経済的な理由から習い事をさせられない家庭も多い。経済格差が教育格差につながらない社会を目指したい」と力を込める。

ひとり親家庭向けのオンライン教育サービスについて語る石光さん(左)=静岡市駿河区のヴァリオス
ひとり親家庭向けのオンライン教育サービスについて語る石光さん(左)=静岡市駿河区のヴァリオス


 取り組みに賛同する各分野の県内外の専門家30人が、ボランティアで講師を務める。講座は動画配信ではなく、決まった時間に講師と受講生がビデオ会議システム「Zoom[ズーム]」を通じ、リアルタイムで交流する。
 講座内容は多彩で、子ども向けには高校入試対策やプログラミング、動画編集、保護者向けにはパソコンスキルやマネー教育などに関するメニューを用意する。法律や住居、仕事など暮らしに関する悩みを専門家に相談する場も設けている。
 利用料は当初、ひとり親家庭を対象に月額980円と設定したが、「一人でも多くの人に知ってもらいたい」(石さん)と、12月末までは登録者全員が無料で利用できるようにした。
 企業や個人から、講座の提供や寄付金も募っている。「コドモミライ応援団」と名付け、社会全体で子どもたちを支援する仕組み作りを目指す。石さんは「中古のパソコン購入など子どもの学習環境の整備や、子ども食堂と提携した取り組みなどに資金を使っていきたい」と構想する。

 <メモ>厚生労働省の2021年度調査によると、母子世帯の母親の平均年間収入は272万円(就労収入は236万円)にとどまる。就業する母親の雇用形態は、正規職員・従業員が48・8%、パート・アルバイトが38・8%。離婚した父親からの養育費を受給しているのは28・1%で3割を下回っている。

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