記者コラム「清流」 旧鈴木家屋敷の保存

 浜松市東区中郡町の旧鈴木家屋敷がレストランを備えた交流施設として改修され、今春営業を始めた。江戸時代に浜松藩随一の庄屋だった名家の居宅で、地元住民有志が20年近く保存活動を続けてきた。取材で保存の苦労を聞き、立派な屋敷が一層輝いて見えた。
 活動を主導した村木正弥さんによると、屋敷は当主が転出し無人になった後、長年やぶに覆われ、開発業者への売却も検討されていたという。由緒を知った村木さんらが当主の許可を得て保存に乗り出し、手入れを続けてきた。熱意に触れた当主側が「地域のため」と屋敷を市に寄付し、地元企業が管理を引き受けて美しくよみがえらせた。
 屋敷を訪ねると、この地がいかに豊かな農村だったか目に浮かぶ。保存に尽くした人々の功績とともに後世に残してほしい。
(浜松総局・宮坂武司)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞