カーシェア、富士に拠点 災害時に迅速貸与へ 南海トラフ地震見据え新設

 被災地で車を無料貸与する日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)は22日、静岡支部を富士市岩淵に新設した。東海地方への進出は初めて。熱海土石流や台風15号の援助で培った静岡県住民との協力関係を生かし、南海トラフ地震を見据え迅速な支援を目指す。

災害時に貸し出す車を紹介する吉沢武彦代表理事=22日午前、富士市
災害時に貸し出す車を紹介する吉沢武彦代表理事=22日午前、富士市


 静岡支部には個人や団体から譲り受けた乗用車や軽トラックなど37台を配備した。災害発生時に被災者らに無料で貸し出し、生活再建や災害ごみの搬出などに役立ててもらう。
 同協会は2011年、東日本大震災を契機に発足した。その3年後に関東地方などで発生した「平成26年豪雪」以降は、全国で災害が起こるたび、宮城県から車を派遣してきた。本県ではこれまでに熱海市伊豆山の大規模土石流で97件、昨年9月の台風15号で306件貸し出した。
 新支部の敷地確保にはこれまでに連携した自治体や社会福祉協議会などが協力した。2年連続の出動で県内在住のスタッフやボランティアも多いという。
 支部設置は佐賀、栃木両県に次いで3カ所目で、災害対応の迅速化が目的。台風15号では、車の運搬やスタッフ配置のため、支援開始までに約20日間を要したという。
 同協会の吉沢武彦代表理事(44)は「東海地方は南海トラフ地震が想定される地域。隣県などを含めて対応したい」と話す。   高齢者外出支援も推進  日本カーシェアリング協会は災害が起きていない平常時、後期高齢者の自動車免許返納を踏まえた外出支援を推進している。ボランティアが運転して複数人の高齢者の買い物や行事などに活用する仕組み。
 3月には富士宮市杉田地区で利用者グループが作られ、運用が始まった。
 災害発生時の返却を条件に、利用料を抑えたリース事業や生活困窮者向けの格安リースなども展開している。
 問い合わせは同協会<電0225(22)1453>へ。

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