深海お掃除ロボ開発 生物の特性組み合わせた機能 小中学生と沼津高専

 静岡県内の小中学生が沼津高専(沼津市)のサポートを受け、さまざまな深海生物の特性を組み合わせたキメラ型の深海お掃除ロボットを開発した。海洋プラスチックなどが社会問題となっている中、関係者の間で話題になっている。

深海お掃除ロボットを開発した(右から)藤島妃那さん、汐希さん、土屋友梨花さん=4月下旬、沼津高専
深海お掃除ロボットを開発した(右から)藤島妃那さん、汐希さん、土屋友梨花さん=4月下旬、沼津高専

 手がけたのは、深海の専門知識を身に付ける「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクト」(日本財団主催)に参加した土屋友梨花さん(静岡清水二中1年)、藤島汐希さん(沼津門池小6)と、姉の藤島妃那さん(沼津門池中2)。昨夏、深海探査に取り組む沼津高専の学生から、生物の特性をものづくりに生かす「バイオミメティクス」の手法を教わり、深海で海洋ごみを回収するロボット制作に着手した。
 3人は、移動時に左右交互に曲がるオオグソクムシの交替制転向反応など、多様な深海生物の特性を調査した。「パーツごとに違う生き物の特性を搭載したら面白い」というリーダーの妃那さんの提案で、ごみをとらえるオオグソクムシの前足、周囲を探るハコエビの長い触角、距離や方向を察知するイルカの超音波センサーなどを組み合わせた。
 今回は、学校教材メーカーが製造するプログラミングロボットキットを用いたモデルのため、実際に深海で駆動するためには防水や基盤保護などが必要になる。ただ、電池切れや通信障害など深海で起こり得る動作トラブルを想定し、深海生物の特性を生かした対処法も考案した。
 土屋さんは「知識をロボットに取り入れられるのが面白かった。いつか、接近が難しい絶滅危惧種を保護するためのロボットを作ってみたい」と意気込む。
 3月、都内で開かれた日本動物学会関東支部大会で高校生に交ざって成果を発表した。学生を指導する沼津高専の大津孝佳教授は「部品を取り換えれば深海探査や人命救助にも活用の幅を広げられる発想がいい。水中カメラで深海調査する学生の研究と組み合わせても面白い」と展望を語った。
 (東部総局・菊地真生)

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