夏を駆ける16歳 世代トップのスプリンター 小針陽葉(富士市立高2年)【しずスポ】

 爆発的なスピードは同世代の追随を許さない。今季の陸上高校女子短距離が小針陽葉(富士市立)を中心に回ることに誰も異論はないだろう。進化の途上にありながら、昨季の100メートル11秒65、走り幅跳び6メートル19は現役高校生トップ。今季は200メートルで日本高校記録23秒45に肉薄する。だが、高校2年生が見据えるのはさらなる高み。「高校タイトルは今年で全て取る。来年はパリ五輪に挑みたい」

小針陽葉
小針陽葉
小針陽葉

 5月3日の静岡国際陸上。女子200メートル予選でエコパスタジアムがどよめいた。日本高校記録に100分の7秒に迫る歴代3位の23秒52。ルーキーイヤーが序章だったことを印象付けた。
 入学時から特別な練習はしていない。筋力アップは器具を使わず自重トレだけ。それだけに、短距離2種目で全国2位、100メートルの県高校記録も更新した昨季は本人も「想像以上」だった。大きな要因は西島多香子監督とコミュニケーションを重ね「自分の走りを分析し、言葉にできるようになったこと」。感覚でしかなかった理想の走りが今は鮮明にイメージできる。
 今季はさらなる飛躍を期す。ピッチとストライドの融合-。ピッチ走法ながら、好調時はストライドも伸びる長所を「最大限に生かしたい」。完成すれば、終盤に上体が突っ込み、脚が前に出なくなる課題も克服できる。
 昨夏の全国総体が終わるまで、高校の目標は2、3年での短距離2冠。だが、ある時、高3で2024年を迎えることに気付いた。最高の成長曲線を描けば五輪は夢ではない。「チャンスが巡ってきた時、心置きなく挑戦したい」。今夏は短距離と走り幅跳び、400メートルリレーの全国4冠を目指す。
 まだ本格的なスピード練習をしていない状態で今季の100メートルは全て11秒台。「勝負にこだわることになれば記録は自然についてくる」とさらに上のギアがある。16歳のスプリンターが掲げた目標タイムは「100メートル11秒40、200メートル23秒40」。ともに日本高校記録の更新を意味する。

 こばり・あきは 2006年12月19日、沼津市出身。小学1年で両親が指導する沼津陸上競技スポーツ少年団に入った。沼津原中3年夏に100メートルで全国2位。富士市立高に進むと、100メートルは昨年の全国高校総体で県高校記録を16年ぶりに更新する11秒72。栃木国体の少年女子Bで全国初優勝を果たし、10月に11秒65まで縮めた。

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