教員の不祥事防止へ初の研修 「6類型」基に感情抑制 静岡県教委

 静岡県教委は本年度、教員による暴言や体罰の防止を目的に、衝動的な感情をコントロールする方法を学ぶアンガーマネジメント研修を初めて実施する。独自にまとめた「6類型」を活用した効果的な教員研修を目指し、昨年度に相次いだ不祥事の対策に力を入れる。

不祥事の原因別分類「6類型」
不祥事の原因別分類「6類型」

 静岡県教委によると、昨年度の教職員の懲戒処分は14人。そのうち逮捕されたのは10人に上り、近年では突出して多かった。県教委は危機感を強めていて「教職員への啓発や研修、不祥事を早期に把握する態勢の強化に取り組む」(池上重弘教育長)との構えだ。
 県教委は昨年度、過去10年分以上にわたる懲戒処分の内容を分析し、不祥事を引き起こす際の原因や傾向として「6類型」をまとめた。今夏には、類型の中で特に「自己中心(自分特別視)型」や「衝動(短絡)型」のリスク軽減を狙い、アンガーマネジメント研修を行う。
 懲戒処分を受けた教員らへの聞き取りデータ約220件を分析したところ「自己中心型」の事例が最も多かった。研修では実際に学校で起こった事例などを取り上げ、体罰をしない指導法や児童生徒との関わり方を確認してもらう。
 6類型では「自分には関係ないと思った」「これぐらいならいいと思った」「どうしても許せなくて」といった教員らの発言を読み解き「依存症型」「学習不足型」「合理化型」などに分けた。タイプに応じて改善の狙いを定め、今後も研修内容を組み立てたいという。
 県教委は児童生徒を対象に2年前から、教職員のセクシュアルハラスメント実態調査も実施している。記載があった教職員に直接指導し、重大事案につながる前に自覚を促している。教育総務課は「いくつかの研修を組み合わせることで改善の必要がある教員の意識を変え、不祥事をなくしたい」としている。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞