富士市 生成AI本格導入 「チャットGPT」などで資料作成

 対話型人工知能「チャットGPT」など、膨大なデータを学習し質問に対して回答するような文章を提供する生成AIについて、富士市は7日、静岡県内の自治体に先駆けて全職員を対象に本格導入を開始した。業務の効率化や施策のアイデア創出を図る。情報管理を徹底するためのガイドラインも策定した。

生成AIを使用して文書を作成する市職員=7日午後、富士市役所
生成AIを使用して文書を作成する市職員=7日午後、富士市役所

 導入するのは、対話しながら文章を作成するテキスト生成AIの「チャットGPT」と「Bard(バード)」。あいさつ文や各申請書などの資料作成やアイデア発案への使用を認めるほか、議会答弁の作成も想定している。
 いずれも無料版で、生成物が著作物に酷似する可能性がある画像生成AIや動画生成AIは対象外とした。全職員のパソコン端末で同サービスへのアクセスを許可した。市担当者は「生成AIを使用すれば、文書作成にかかる時間が半分以下になる。他の市民サービスに時間を割けるようになるのでは」(デジタル戦略課)と期待する。
 市では4月上旬に導入の検討を開始した。問題点の洗い出しや神奈川県横須賀市などの先行事例を踏まえてルールを定めた。個人情報と非公開情報の入力の禁止や、生成された内容の校正と推敲(すいこう)、著作権侵害の有無の確認、利用に当たって所属長の許可を得ることなどを盛り込んだ。同担当者は「職員に向けた研修を開き、ガイドラインの周知を図りたい」と話した。

誤情報拡散のリスク懸念 責任ある使用を
 世界的に利用が進む生成AIは、情報漏えいに加え、誤情報拡散のリスクも懸念されている。
 AIに詳しい静岡大情報学部の狩野芳伸准教授は「生成された文章は、もっともらしくうそをつくことがある。『知り合いの意見』程度に受け止めるのが適切」と指摘。行政機関には特に責任ある使用が求められるとし、推敲の重要性を強調した。

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