全国“走破” 終わらぬ挑戦 47都道府県でマラソン大会入賞達成 磐田の68歳北沢さん

 磐田市立野の市民ランナー北沢正孝さん(68)は今春までに、47都道府県全てのマラソン大会で入賞を果たした。定年退職を機に全国各地のレースに挑戦。免疫疾患を抱えながらも、仲間と支え合い8年かけて偉業を達成した。「自分の取り組む姿勢がシニア世代を元気づけ、挑戦する人の背中を押すきっかけになれば」と話す。

今春までに、47都道府県全てのマラソン大会での入賞を果たした北沢さん。新たな“ゴール”に向けて走り続けている=4月下旬、磐田市立野
今春までに、47都道府県全てのマラソン大会での入賞を果たした北沢さん。新たな“ゴール”に向けて走り続けている=4月下旬、磐田市立野

 高校教諭を退職後、2015年8月から健康のためにランニングを始めた。3カ月後には地元のジュビロ磐田メモリアルマラソン5キロの部に初出場し、7位になった。「入賞の6位まであと40秒差だったので悔しかった」。中学、高校と陸上部だった北沢さんの心に再び火がついた。
 毎朝12キロ走り、練習後は40分かけ、ストレッチをして体のケアを徹底した。16年1月の愛知県の大会(男子5キロ・60歳以上)でタイムを2分も縮めて6位に入り、初の入賞を飾った。以降も、5キロや10キロ、ハーフマラソンなど近隣県の大会に参加した。
 47都道府県“制覇”を目指したきっかけは、17年10月に長野県で開かれた大会。聴覚障害がありながら全都道府県のマラソンで優勝した永井恒さん(67)=浜松市南区=と出会い、刺激を受けた。「優勝は難しいけれど、6位以内ならできるかも」と、全国行脚を始めた。
 新型コロナ禍で市民ランナーが参加できる大会は中止・延期が相次いだが、闘志は衰えなかった。持病のバセドー病の影響で夏場は大量に汗をかき、一度の練習で体重が1キロ減ることもあったが「走ることが好き」という気持ちが勝り練習に打ち込んだ。永井さんと頻繁に連絡を取り合い、磐田、浜松市内で練習会を企画。大会が再開し始めると、情報を交換してモチベーションを維持した。
 今年3月、最後に残った熊本県の大会(男子5キロ・60歳以上)で3位となり、全国での入賞を成し遂げた。「入賞できたり、自分の思い通りの走りができたりした時の達成感がたまらない。次は表彰台に立てなかった富山、岐阜、埼玉、徳島の4県で3位以内に入りたい」。新たな“ゴール”に向けて、今日も走り続けている。

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