静岡人インタビュー「この人」 タイキャンプフェスを主催した 佐野ひろさん(富士宮市)

 20代でタイに移住し俳優として活躍。「タイで最も有名な日本人の一人」との呼び声も。タイ人向けに日本の生活を紹介するテレビ番組の企画制作など、親日文化の醸成に取り組む。2019年に両親が住む富士宮市に移り、ことし5月下旬には市内のキャンプ場でタイキャンプフェスを同国政府観光庁と共催した。48歳。

佐野ひろさん
佐野ひろさん

 -タイに渡った理由は。
 「役者の下積み時代にバックパッカーをして知り合ったタイ人からCMのオーディションに誘われ、偶然にも3本も主役級で合格した。昔から一度きりの人生はチャンスがある場所に住もうと決めていた」
 -日本との違いを感じた思い出は。
 「カオスな街だという第一印象。日本の満員電車に感じる疲労感とは真逆な、元気で目を輝かせた人々が衝撃だった。彼らは楽しむことを前提に生きていて、ここで勝負したいと思えた。困っている人を放っておかない人が多く、タイ語が分からずバスの乗車もままならなかったが、周囲の優しさに包まれ、苦労より楽しさが勝った。時間にルーズで焦っている人が少ない。予定の2時間後に収録現場に集まったこともある」
 -日本文化の紹介番組を始めた経緯は。
 「日本人役を演じる中で、服装や季節感、食事など、台本にある日本人像に違和感を抱いていた。共演者との話題はいつも日本文化になるほどタイ人は日本に興味津々。正しい文化を伝えたかった」
 -活動の未来像は。
 「両国の交流を活性化したい。タイ人は日本が好きだが、日本人はタイをあまり知らない。心に余裕を与えてくれる国だと広めたい」

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