山間部アワビ養殖終了へ 民営化目指すも技術に壁 浜松・佐久間
浜松市天竜区佐久間町のNPO法人「がんばらまいか佐久間」は14日までに、同町で取り組んでいたアワビの陸上養殖事業を6月末で終了することを決めた。約8年間にわたり事業の民営化を目指したが、養殖の生産管理が困難で軌道に乗らなかった。同NPOの大見芳理事長(70)は「成果が上がらず残念。設備を使用したい企業や組織がいれば話をしたい」と話した。
養殖事業は、地域活性化の一環として、市が2015年に実証実験として始めた。同NPOが事業委託を受け、旧学校給食センターを養殖場に整備して取り組んだ。5年間は市の委託事業として取り組み、その後の3年間は市中山間地域まちづくり事業として採択され、運営資金2790万4千円の交付を受けていた。
事業を終える理由として、一通りの成育に約5年かかることや水質、水温の調整が難しいなど技術面のハードルが高かった。
生産は順調にいかなかった一方、観光客や学生が養殖場の見学で同町を訪れたほか、アワビの貝殻を使った装飾品が販売されるなど、さまざまな形で活用された点もあった。
同NPOは、設備を生かした実験や養殖などを検討している企業、組織があれば話を聞く方針。大見理事長は「佐久間町の設備として、この場所で取り組んでくれる人に来てほしい」と話した。