フジの新品種開発へ 藤枝市と静岡大農学部が共同研究 25年度登録目指す

 包括連携協定を結ぶ藤枝市と静岡大は、フジの花の新たな品種開発に向け共同研究に取り組んでいる。開花時期の性質を利用し、フジを楽しめる期間を拡大することで交流人口の増加につなげる。市の事業「食と農のアンテナエリア形成」の一環で2022年度から始まり、フジに関する基礎調査や蓮華寺池公園でのアンケートなどを踏まえ、25年度中の新品種の登録を目指す。

フジの花に関するアンケート調査を行う深尾賢志さん(右から2人目)と田中友実子さん(右)=4月、藤枝市の蓮華寺池公園
フジの花に関するアンケート調査を行う深尾賢志さん(右から2人目)と田中友実子さん(右)=4月、藤枝市の蓮華寺池公園
フジの生育を調査する学生=10日、藤枝市仮宿の静岡大農学部藤枝フィールド
フジの生育を調査する学生=10日、藤枝市仮宿の静岡大農学部藤枝フィールド
フジの花に関するアンケート調査を行う深尾賢志さん(右から2人目)と田中友実子さん(右)=4月、藤枝市の蓮華寺池公園
フジの生育を調査する学生=10日、藤枝市仮宿の静岡大農学部藤枝フィールド

 研究しているのは同大農学部付属地域フィールド科学教育研究センターの八幡昌紀准教授(45)と富永晃好助教(38)のゼミで学ぶ学生。藤枝市仮宿地区を拠点とする同大の農場「藤枝フィールド」内のビニールハウスで、約700個体のフジの種子繁殖や、フジの枝を使った挿木繁殖などを通じて生育調査を行っている。22年度は蓮華寺池公園でフジを管理する地元団体「藤育会」の協力を得て、フジの開花時期や花序、小花、小葉などの形質を調べた。
 4月はこれまでの研究結果の報告を兼ねて、同公園の来場者に理想とするフジの見頃の時期や、鑑賞ポイント、新品種に期待する性質などをアンケートで聞き取った。計6日間で210人分のサンプルが集まり、「新しい香りや色を見たい」「開花時期を遅らせることができるのか」などと意見が寄せられたという。
 今後はアンケート結果を踏まえ、フジの育種を進める。同大大学院1年の深尾賢志さん(24)は「一般の方は自分と違う視点を持っていて面白い。藤枝はフジの街というイメージを全国に広めたい」と研究への意欲を示し、同大農学部4年の田中友実子さん(21)は「藤枝ならではのフジを改良したい」と意気込んだ。
 品種改良後は藤枝にちなんだ名称で登録し、蓮華寺池公園や道の駅などに植栽する予定。市企業立地戦略課の担当者は「藤枝にしかない新しいフジを開発して人を呼び込みたい」と期待した。

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